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2011 年度 実績報告書

高性能検証系を統合した高水準モデリング言語処理系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 23300011
研究機関早稲田大学

研究代表者

上田 和紀  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10257206)

研究分担者 田辺 良則  国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 特任教授 (60443199)
キーワード高水準モデリング言語 / 言語処理系 / モデル検査 / ハイプリッドシステム / 並列処理
研究概要

高性能検証のための要素技術の確立と,システム検証の基盤となるモデリング言語の整備を目指して,本年度は研究代表者のグループが開発を推進している2つのモデリング言語を核として以下の研究開発成果を得た.
階層グラフ書換え言語LMNtalについては,従来の通常の一対一接続のリンクに加えて多点接続のためのハイパーリンクの表現・操作機能を実装し,さらにそれを非決定的実行(状態空間構築)に対応させることで検証系の表現力を大幅に向上させた.また,公開中のLMNtal並列モデル検査器slimの整備を進めて版を重ねるとともに,(i)Δ-marking手法による状態空間圧縮技法,(ii)リアルタイムシステムの並列モデル検査器への拡張,(iii)組合せ最適化の並列求解系への拡張をそれぞれ試験的に実装して評価を行った.
制約に基づくハイブリッドシステムモデリング言語HydLaについては,前年度に基本設計を行った非決定実行アルゴリズムの実装を進め,初期値の一部が区間値として与えられたシステムや記号パラメタをもつシステムのシミュレーション実行を可能にした.このようなシステムは一般に複数の定性的に異なる軌道をもつが,HydLa処理系は初期値に関する場合分けを行ってその全解を求める.この機能を利用してハイブリッドシステムの解析例の蓄積を進めた.また,これまでのHydLa実行系はMathematicaを数式処理エンジンとして用いていたが,それに加えて計算機代数システムReduceも利用できるようにした.さらに,HydLa処理系の検証系への拡張の第一歩として,HydLaプログラムからのハイブリッドオートマトンの抽出に関する基礎研究を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の中心をなす高水準モデリング言語LMNtalおよびHydLaの処理系および検証系の開発と機能拡張は順調に進展し、LMNtalに続きHydLa処理系も公開するに至った。一方、当初予定の研究項目の一部(抽象化、高信頼近似計算)についてはその難度が予想以上であったため、実装を急がず基礎に立ち返り研究を続けることとした。

今後の研究の推進方策

これまで通り,高水準モデリング言語処理系の開発・使用経験を軸として,新たな要素技術の確立および応用分野・波及効果の拡大を図る.階層グラフ書換え言語LMNtalについては,ハイパーリンク機能の実装に伴い表現力が拡大したことを活かし,他の代表的計算体系のLMNtalへのエンコードを進めて,LMNtalモデル検査器がそれらの計算体系のためのモデル検査器としても利用できるようにする.またそれを可能にするための抽象化技術を確立する.ハイブリッド制約言語HydLaについては,高性能検証の実現手法を根本から検討すべく,まず現在の非決定的シミュレーションアルゴリズムの実際の挙動を深く分析し,その結果に基づいて高速化,並列化および抽象化の方向性を探求する.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (9件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] HyperLMNta1 : An Extension of a Hierarchical Graph Rewriting Model2012

    • 著者名/発表者名
      Kazunori Ueda, Seiji Ogawa
    • 雑誌名

      Künstliche Intelligenz

      巻: 26 ページ: 27-36

    • DOI

      10.1007/s13218-011-0162-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ハイブリッドシステムモデリング言語HydLa処理系の実行アルゴリズム2011

    • 著者名/発表者名
      渋谷俊, 高田賢士郎, 細部博史, 上田和紀
    • 雑誌名

      コンピュータソフトウェア

      巻: Vol. 28, No. 3 ページ: 167-172

    • DOI

      10.11309/jssst.28.3_167

    • 査読あり
  • [雑誌論文] LMNta1実行時処理系の並列モデル検査器への発展2011

    • 著者名/発表者名
      後町将人, 堀泰祐, 上田和紀
    • 雑誌名

      コンピュータソフトウェア

      巻: 28-4 ページ: 137-157

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An Interval-based SAT Modulo ODE Solver for Model Checking Nonlinear Hybrid Systems2011

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Ishii, Kazunori Ueda, Hiroshi Hosobe
    • 雑誌名

      Int.J.Softw.Tools.Technol.Transfer

      巻: 13 ページ: 449-461

    • DOI

      10.1007/s10009-011-0193-y

    • 査読あり
  • [学会発表] 並列モデル検査器SLIM上でのΔ-marking手法の実装と評価2011

    • 著者名/発表者名
      川端聡基, 上田和紀
    • 学会等名
      ディペンダブルシステムワークショップ&シンポジウム(DSW & DSS 2011
    • 発表場所
      京都工芸繊維大学(京都府)
    • 年月日
      2011-12-14
  • [学会発表] ハイブリッドシステムモデリング言語HydLaを用いたシステム解析2011

    • 著者名/発表者名
      竹口輝, 松本翔太, 上田和紀
    • 学会等名
      ディペンダブルシステムワークショップ&シンポジウム(DSW & DSS 2011)
    • 発表場所
      京都工芸繊維大学(京都府)
    • 年月日
      2011-12-14
  • [学会発表] Simulation with Guaranteed Accuracy Using Hybrid System Modeling Language HydLa2011

    • 著者名/発表者名
      K.Sakuraba, K.Ueda, H.Hosobe, S.Shibuya, S.Matsumoto
    • 学会等名
      The Ninth Asian Symposium on Programming Languages and Systems (APLAS 2011)
    • 発表場所
      Kenting (Taiwan)
    • 年月日
      2011-12-06
  • [学会発表] HyperLMNta1 : An Extension of a Hierarchical Graph Rewriting Model2011

    • 著者名/発表者名
      Manabu Meguro, Seiji Ogawa, Kazunori Ueda
    • 学会等名
      The Ninth Asian Symposium on Programming Languages and Systems (APLAS 2011)
    • 発表場所
      Kenting (Taiwan)
    • 年月日
      2011-12-06
  • [学会発表] ハイブリッドシステムモデリング言語HydLaの実装2011

    • 著者名/発表者名
      松本翔太, 桜庭翔, 高田賢士郎, 細部博史, 上田和紀
    • 学会等名
      日本ソフトウェア科学会大会第28回大会
    • 発表場所
      那覇(沖縄県)
    • 年月日
      2011-09-29
  • [学会発表] Explicit-time methodによるモデル検査器SLIMにおけるリアルタイムモデル検査2011

    • 著者名/発表者名
      清水涼子, 川端聡基, 上田和紀
    • 学会等名
      日本ソフトウェア科学会大会第28回大会
    • 発表場所
      那覇(沖縄県)
    • 年月日
      2011-09-28
  • [学会発表] 基数制約に対応するクラスタ向け並列SATソルバとその評価2011

    • 著者名/発表者名
      徐暁雋, 山根裕二, 上田和紀
    • 学会等名
      2011年並列/分散/協調処理に関する『鹿児島』サマー・ワークショップ
    • 発表場所
      鹿児島(鹿児島県)
    • 年月日
      2011-07-28
  • [学会発表] 基数制約の概念を持つSATソルバの設計と評価2011

    • 著者名/発表者名
      山根裕二, 徐暁雋, 上田和紀
    • 学会等名
      2011年度人工知能学会全国大会
    • 発表場所
      盛岡(岩手県)
    • 年月日
      2011-06-03
  • [学会発表] 階層グラフ書換えモデルを拡張したHyperLMNta1の実現2011

    • 著者名/発表者名
      小川誠司, 目黒学, 上田和紀
    • 学会等名
      2011年度人工知能学会全国大会
    • 発表場所
      盛岡(岩手県)
    • 年月日
      2011-06-02
  • [備考]

    • URL

      http://www.ueda.info.waseda.ac.jp/lmntal/

  • [備考]

    • URL

      http://www.ueda.info.waseda.ac.jp/hydla/

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公開日: 2013-06-26  

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