研究課題/領域番号 |
23300014
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲葉 真理 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (60282711)
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キーワード | リコンフィギャラブルシステム / 離散最適化 / ハードウェアアルゴリズム |
研究概要 |
本研究は、近年数値計算の分野で威力を発揮しているアクセラレータの適用範囲を大規模離散最適化問題に拡げ、効率よく最適解の分散探索を行うシステムの構築を目的としている。具体的には、相互通信機能を持つプログラマブルなハードウェア・アクセラレータとホスト・サーバを組み合わせ、アクセラレータとネットワークが融合したシステムを構築し、その上に、煩雑な通信制御を隠蔽するための、アプリケーション層とアクセラレータ層をつなぐソフトウェア層を構築し、大規模離散最適化問題を統一的に扱うフレームワークの提案・実装を行う。これにより、(1)相互通信による通信ボトルネック問題の解決および、(2)探索時の情報共有問題の解決を図る。またこの上で、実際に制約充足問題用分散ソルバの実装を行うことでその有用性を実証する。将来に向けての本研究の成果は、単に「高速な並列探索が行える」にはとどまらないず、「アクセラレータに相互ネットワーク機能を持たせる」という解を提示することにもある。本研究の高速相互通信機能の枠組みが一般の数値計算用アクセラレータと融合することにより、より柔軟性のある高効率なシステムの実現が期待できる。 本年度の研究では、システムの基本設計とそのために必要なシミュレーションによる解析を行った。その上で、応用分野である制約充足問題において分散ソルバそのものの効率化も実現することを目指して、計算機実験によるプロトタイピングに取り組んだ。国際会議の場でこれらの結果を関連成果とともに発表するとともに、次年度につながる新しい知見を得て、さらに高度な成果実現へ向けての検討を進めることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究初年度にあたり、まずは研究遂行のために必要な計算環境の整備に取り組む中で、繰越制度も活用して十分な準備期間をかけて大容量メモリマシンを適切な時期に導入することができた。この計算環境下で種々のプロトタイピングを実施すると同時に、研究協力グループと共にFPGAシステム実機による計算にも取り組み、成果を順調にあげることができた。並行して、これらの成果について学会発表等を通して広く周知する活動も随時行った。
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今後の研究の推進方策 |
従来の方針にそって研究を推進するとともに、新たな研究協力者を得ることによって研究の幅を広げ、研究計画に含まれるひとつひとつの要素についてもより深く追究していく。研究メンバ間の円滑な連携体制によって情報を迅速かつ密に共有し、さらなる応用展開についても随時積極的に検討を行っていく。
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