研究課題/領域番号 |
23300015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
越智 裕之 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40264957)
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研究分担者 |
佐藤 高史 京都大学, 情報学研究科, 教授 (20431992)
筒井 弘 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30402803)
中村 行宏 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (60283628)
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キーワード | アドホックネットワーク / 非接触通信 / 非接触電源供給 / オンチップ太陽電池 / 長期信頼性 / マスクROM |
研究概要 |
人類がこれまでアナログメディアで蓄積してきた書物、音楽、映像等の文化遺産のデジタル化や、増えつつあるオンラインコンテンツの散逸防止が急務であるが、既存の光ディスクや磁気ディスク等の寿命は数10年と言われている。そこで研究代表者らは、長寿命なデジタル記憶メディアとしてマスクROMに注目し、その長期信頼性を更に高めるべく、マスクROMの実装されたシリコンチップ全体を完全に絶縁層で封止し、エネルギー供給やデータの取り出しを全て非接触で行うことを考え、更に、各記憶メディアに相互通信する機構を持たせ、拡張性の高い大規模アーカイブシステムを実現することを考えた。この実現に向け、平成24年度は、(a)オンチップ非接触電源供給および(b)データ通信技術の予備評価、ならびに、(c)低電圧動作可能なマスクROMの方式検討と評価を行った。 (a)オンチップ非接触電源供給技術の予備評価に関しては、通常の0.18μmCMOSプロセス上に太陽電池を実装したチップの試作及び測定を行った。CMOSプロセスで太陽電池を実装した場合、基板電位より高い電圧を効率よく取り出すことは困難であることが知られているが、それを可能とする回路方式を新たに着想し、その基本的な動作を実測により確認することができた。この技術はセンサネットワークや能動無線タグ等にも適用可能性があり、現在、特許出願を検討している。 (b)オンチップ非接触データ通信技術の予備評価に関しても、実測による評価を行った。この結果、周辺回路の発熱の影響で受信回路の動作が大きく影響を受けることを示唆する有益な結果が得られた。 (c)低電圧動作可能なマスクROMの方式検討と評価に関しては、単位面積当たりのビット数で優れるNAND型マスクROMについて、設計およびシミュレーションによる評価を行った。この結果、65nmプロセスで最小サイズのトランジスタを使用して実現した32bit・32wordのNAND型マスクROMが電源電圧0.7V程度までは正常に動作し得ることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非接触電源供給技術に関しては、上述の通り当初の計画に無かった新たな着想を得て実験を実施し、結果として当初の計画以上の成果を得ている(なお、現在特許出願を検討しており、論文発表は差し控えている)。他方、マスクROMその他の事項の研究についてはその分、十分な工数を割くことができず、やや遅れていることも否めないが、これは次年度以降に推進する予定である。これら全体を総括し、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画に沿って研究を推進するが、平成23年度に着想を得たオンチップ太陽電池の方式について、更なる改良と、より詳細な実測を実施することとする。
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