研究課題/領域番号 |
23300021
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 寧 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00236168)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | QoS / 光通信 / ギガビット / プロトコル / ネットワーク融合 |
研究概要 |
本研究では、PONによる大融合ネットワークにおいてサービス品質保証を実現するために必要となるコア技術である経路制御技術とトラフィック制御技術の創出を目的としている。経路制御技術とトラフィック制御技術の開発を行う本研究では、(A)PONの特徴を最大 限利用すること、(B)様々なタイプのネットワークがPONに接続さられることを念頭において研究を進める必要がある。そこで、第1段階では、PONに接続されるネットワークを一般化して考え、(A)を実現するためにベースとなる技術の研究を行う。そして第2段階では、(B)を念頭に第1段階で一般化したネットワーク環境を具体化して想定し、第1段階で考案した技術に各ネットワークの特性に合わせた改良を施す。 本年度の研究では、第2段階に該当する研究を行った。具体的には、PONと一つの種類のネットワークが接続した融合ネットワークにおいて、それぞれの特性を最大限に利用したトラフィック・経路制御技術の基礎を確立するため以下の情報を明らかにした。まず、第1段階まで明らかにしたPONの制御パラメータと通信モデルを基にして、PONと接続するネットワークの特徴を具体化した際のサービス品質を左右し得る制御パラメータを特定すると共に、融合ネットワークのモデル化を行った。そして、PONと接続するネットワークが持つ特性を考慮してPONとの接続点(OUN)を選択することによって、第1段階で開発したトラフィック制御技術と経路制御技術の改良を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は第2段階に該当する研究を行うと計画していた。これに対し、本年度の成果として、PONによる大融合ネットワークにおいてサービス品質を特徴づける制御パラメータの特定とモデル化、またそれらのモデルに基づきネットワークのトラフィックを制御する技術を考案した。PONにおける大融合ネットワークにおいてサービス品質を保証することを目的としている本研究において、サービス品質を特徴づける制御パラメータの明確化と融合ネットワークのモデル化を行った本年度の研究は極めて重要であり、当初予定した研究目標の大部分を達成した。 以上の理由から、今年度の成果はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も継続して研究の第2段階を行う。本年度は、PONと接続するネットワークの種類を限定してモデル化し、その環境に適したトラフィック制御技術を考案した。これに対し、来年度はPONと多様なネットワークが接続する大融合ネットワークにおいてサービス品質を特徴づける制御パラメータの特定とモデル化、トラフィック制御技術の検討を行う。さらに、ネットワークのサービスの多様化も考慮した経路制御技術を開発する。特に、ネットワークのグリーン化が重要視されている近年の社会的背景から、電力消費を考慮した経路制御技術について検討する。近年のPONはONUがスリープすることにより消費電力を削減しているため、時間によって利用可能なONUが変化することを考慮した経路制御について検討を行う。制御技術の開発は、モデル化と理論検討、アルゴリズムの考案とプロトコルの設計、計算機によるシミュレーションベースの性能評価という一連のサイクルの繰り返しによって行う。
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