本研究では,持続的に発展するネットワークシステムの構築を目指し,トラヒック量に応じた適切な規模で動作するネットワークを実現するための,エネルギー消費を考慮したネットワーク制御アーキテクチャの研究開発に取り組んだ. 平成25年度は,設定した三つのサブテーマである,(1)ピークトラヒック量推定に基づく動的網再構成技術,(2)帰属集約制御による無線ネットワーク省電力技術,(3)ネットワーク省電力化のための有無線統合制御技術,のそれぞれについて取り組むとともに,これまでの研究成果を集約し,通信品質を考慮しながら省電力化を可能にする制御手法の研究開発を実施した.特に,省電力化技術としてネットワーク機器のスリープ(休止)制御に着目し,ノードやインタフェースなどの複数の構成要素に加えて,ネットワーク全体の負荷も考慮しながら,トラヒックの集約と分散を適切に制御する方式を開発した.また,実ネットワークへの適用を想定し,学内ネットワークのトラヒック情報を用いた性能評価を実施し,提案方式の有効性を確認した.さらに,アプリケーションレベルでの通信品質を考慮するため,省電力ネットワーク環境におけるトランスポートプロトコルの挙動およびその特性についても詳細に調査し,その結果に基づいてフロー制御方式の改良と性能評価を実施した. これらの成果を統合することにより,有線および無線ネットワークにおいて複数ノードが連携し,ネットワーク全体のトラヒック量に応じた稼働/休止を判断することによって,省電力化を実現するネットワーク制御技術を開発し,その有効性を確認した.
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