研究課題/領域番号 |
23300032
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂本 雄児 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (40225826)
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研究分担者 |
奥山 文雄 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (70134690)
宮尾 克 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70157593)
宮永 喜一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (20166185)
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キーワード | 可視化 / 三次元表示システム / 電子ホログラフィ / 視覚生理 |
研究概要 |
1.研究の目的 本研究では、理想の立体映像の原理と言われているホログラフィを用いた3DTVシステム(3DホロTV)を製作し、実機を用いて再生される三次元光空間の特性を視覚機能の面から評価し、人間の視覚系から見た3DTVとしての能力を明らかにすることを目的とする。 2.平成23年度の研究実績の概要 3DホロTVの表示装置にあたる電子ホログラフィ装置の設計および製作を行った。本装置は本研究のために全く新たに設計されたもので、特に、両眼による画質評価を可能とするため,電子ホログラフィ装置としては世界トップクラスの大きな立体像の表示領域を持っている。光学系と液晶パネル(空間光変調器)装置、電子部品、パーソナルコンピュータなどから構成され、製作に当たっては、市販品の組み合わせだけでなく、光学部品・構造部材の製作、これらをコントロールする電子回路の製作、ソフトウェアの開発などが行われた。製作された装置にを用いて、装置の基本性能の確認を行い、表示された立体像の形状および立体視に重要な視差、輻輳など正しく表示できただけでなく、表示領域や分解能などにおいて理論設計で求められた性能を発揮することが確かめられた。また,従来の3DTV装置では満足することのできなかった,表示された立体像までの距離による焦点調節にも対応した、電子ホログラフィとしての優越性を示すことができた。これにより,平成24年度以降の実験に置ける表示装置の準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の実施予定であった,3DホロTVの表示装置にあたる電子ホログラフィ装置の設計および製作は終了し、平成24年度以降の実験に置ける表示装置の準備が整い、ほぼ予定通りに順調に進んでいると言える。 平成23年10月に他の研究グループより従来の3D装置において3D動画の視覚系生理に関する新たな知見が発表された。これには、動画と視覚系生理の各特性の同時測定の重要さが示唆されていたが,本システムではこれらの点に関して、不十分な点があった。そこで,動画と視覚系生理の各特性の同時測定にも対応するため、これらの測定装置を組み込むために,電子ホログラフィー装置の再設計と既に製作されていた装置の一部に変更が入ることになった。このため,研究が平成23年度中には終了せず、3ヶ月程繰り越すことになった。 ただし、この再設計により装置自体の様々な自由度が上がり、今後の研究での一部変更や,様々な研究への応用範囲が広がり、次年度以降の研究に有用な結果となったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は開発した電子ホログラフィー装置に視覚系生理の各特性の同時測定装置を組み込み、これに3D撮影装置と3D画像処理装置を接続することにより,視覚系生理を測定可能な3DホロTVを構成していく予定である。さらに平成25年度以降はこれらの装置を用い立体画像の視覚系生理との関連を測定する予定である。 前述のごとく、動画と視覚系生理の各特性の同時測が重要であることが示唆されており、かつ装置がこれに対応したことにより、当初の研究計画よりより広い範囲の研究が進められると思われる。また,当初の計画より3D撮影装置や3D画像処理装置を若干変更することによって、これらの研究に対応することができ,より広く進んだ研究となることを期待している。
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