本年度は,これまで開発を行ってきたシステムの評価と改良を進めるとともに,ユーザビリティ評価およびデモンストレーションシステムの実装を行った. 高速プロジェクタシステムのDMD制御ファームウェアに関しては,前年度までに開発した近似透視投影変換の実装におけるパイプライン構成を見直してさらなる高速化を図り,毎秒1300フレームの座標変換および映像投影を実現した. これにより,スクリーン平面とプロジェクタ間の任意の相対位置姿勢に対応して映像を高速に幾何学的補正を加えることが可能となり,また任意の仮想的相対位置姿勢をシミュレートした映像投影を行うことが可能となった. プロジェクタ搭載型携帯端末の動きを利用したユーザインタフェースの評価およびデモンストレーションに関しては,前年度に検討した映像コンテンツ検索・再生操作インタフェースのユーザビリティ評価を行った.具体的には,上下左右方向の2自由度のカーソル移動に加えて,プロジェクタを回転させる自由度を操作に用いることにより,操作性を向上させられる可能性があることを示した. また,端末のダイナミックな動きをさらに活用するユーザインタフェースを開発した.投影される映像内のコンテンツのうち,スクリーン座標系に固定されるコンテンツと端末とともに動くコンテンツの相互間にダイナミクスを導入することで,より直観的で快適な操作の実現をねらうものである.具体的にはコンテンツを跳ね飛ばす動作を活用するユーザインタフェースを開発し,オブジェクト操作やスクロール操作等に応用するデモンストレーションを実装した.
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