研究課題/領域番号 |
23300044
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
枦 修一郎 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (90324285)
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研究分担者 |
石山 和志 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20203036)
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キーワード | ユーザーインターフェース / 磁気モーションキャプチャ / バーチャルリアリティ / ワイヤレスマーカ |
研究概要 |
検出空間の拡張化を図るため、励磁コイルおよび検出コイルアレイの再構成と位置検出性能の評価を行った。まず励磁コイルと検出コイル(センサ)アレイが一体化されたパッド(平面配置)型コイル部を製作した。32個(32ch)の検出コイル(直径25mm、40回巻)を75mm間隔で格子状に配置し、また検出コイルを固定したボードの外周に励磁コイル(495×495mm、10回巻)を配置して一体化し、直径400mm程度の検出可能空間を確保した。次にこのパッド型コイル部を用いて、磁気マーカの位置検出性能の評価を行ったところ、高さ100mm程度まで2mm以下の検出精度を有していることが明らかとなった。さらにリング型コイル部実現に向けて、検出コイルの3次元的な配置を可能にするためのアタッチメントを試作した。このアタッチメントを用いることで、これまで平面配置のみであった検出コイルを30°または45°に傾けて配置することが可能となった。これにより磁気マーカの発する誘導磁界計測時のSN比が向上し、位置検出が困難になる磁気マーカの姿勢角の範囲を狭めることが可能となる。 磁気マーカの小型軽量化のため薄型磁気マーカの試作・検討を行った。寸法4×10mm、厚さ1mmの板状のNi-Znフェライト磁心に、直径0.1mmの銅線を100回巻き磁気マーカ用コイルとした。マーカの共振周波数設定にあたっては、マーカコイルの周波数特性の測定結果より、Q値(性能指数)が最も高くなる周波数帯域を考慮して約350kHzとした。全体のサイズは幅4.5mm、長さ10mm、重さは0.5gであるため、手指に貼付してもほとんど違和感のないサイズである。本研究開始以前に試作した磁気マーカと比較して、ほぼ同等の性能を有していることから、体積や重量の増加を抑えつつ検出位置精度2mm以下を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検出コイルと励磁コイルから成るコイル部の再構成により検出可能空間を拡張化し、また小型軽量の薄型磁気マーカを実現のための指針を得たことにより、平成23年度の研究目標は十分達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降は、非接触型3Dトラックパッド実現のため、合計32chの誘起電圧の計測をリアルタイムで処理可能な計測部の開発と、システム全体を制御するプログラムを作成し最適化していく。リアルタイム計測処理のためには、FPGAによるハードウェア処理のための計測部を開発していく。またシステム制御プログラムの最適化にあたっては、マルチコアを用いた並列処理を可能とするプログラミング法を用いる。
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