今年度は、前年度に構築したモーションキャプチャシステムの検出精度の評価を行うとともに、3Dグラフィックスを組み込んだ制御プログラムを作成し、ワイヤレス3Dトラックパッドとしての動作確認を行った。 具体的には、前年度までに構築したモーションキャプチャシステムについて、0.05mm程度の移動精度を持つ3軸ステージを用いて10個の磁気マーカに対するリアルタイム検出を行い、各マーカの検出位置精度を評価した。検出コイルアレイから100mm程度の距離においては、検出誤差が5mm以下であった。また直径300mmの検出コイルアレイ面内において、リアルタイム検出が可能であることを確認した。さらに3DCG(Computer Graphics)の代表的なプログラミングライブラリであるOpenGL(Open Graphical Library)を用いて、指先の動きのトレース結果を仮想空間内(PC画面内)で視覚的に表示可能な3Dオブジェクトを作成したことで、指先の動きをリアルタイムで表示可能になった。検出速度は、2個の磁気マーカを100Hz、また10個の場合で20Hzと、実用的にも十分な検出速度を実現した。本システムは、小型で軽量(0.8g以下)のワイヤレスかつバッテリーレスの磁気マーカを用い、閉塞空間でもリアルタイム検出が可能である点が最大の特長である。 以上の結果より、手指動作をリアルタイム検出し、かつ検出結果を仮想空間内にリアルタイム表示可能な、ワイヤレス3Dトラックパッドのプロトタイプを構築したことで、本研究課題の目標を概ね達成した。
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