研究課題/領域番号 |
23300045
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
藤田 欣也 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209051)
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研究分担者 |
田中 貴紘 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80451988)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ヒューマンインタフェース / 割り込み / 知的活動 / 状況推定 / 場 |
研究概要 |
ユーザの状況を反映しない情報提示は,思考の断片化によって作業効率を低下させる.そこで本研究課題は,人の知的活動や社会活動を阻害しない情報提示や遠隔からの話しかけの実現に向けて,在室者が行う作業や社会活動と室内の動きや音の関係をモデル化することによって,室内の知的活動状況の自動推定を目指すものである. 2年目にあたる2012年度は,連続的に記録した室内の俯瞰映像と環境音から複数の評価者が判断した部屋の割り込み許容の程度(部屋の割り込み許容度)の平均値と,画像処理によって求めた動きの検出数や検出領域の広がり,音圧などの指標の重回帰分析をおこない,推定式の構築を試みた.その結果,3段階程度での部屋の割り込み許容度の推定可能性が確認された. 上記と平行して,無指向性マイクで検出した室内音をウェーブレット変換し,会話音声が有するピッチやフォルマント等の周波数特徴や時間特徴,ならびに会話の連続性を利用した会話の開始終了の自動検出を試みた.さらに,人が判断した会話の開始終了と割り込み許容度との関連性も併せて検討した.その結果,会話の存在が割り込み許容度を低下させること,会話終了直後は許容度が高くなることなどが示唆された.また,会話の自動検出による推定の可能性も認められた. さらに,これまでの実験から,発話潜時,オーバラップ率,発話量などの会話構造関連指標と主観的会話活性度の関連性が示唆されていたことから,3指標を用いた活性度推定法を提案し,ビデオチャット環境における有効性を実験的に確認した. 以上のように,室内の動きや音を検出することによる,状況推定の可能性が示唆された.今後は,会話の詳細な状況を反映する指標の検討など,精度の高い状況推定に向けた検討が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験的に取得したデータを分析し,室内のざわつきに基づく割り込み許容度の自動推定の可能性を確認した.また,コミュニケーション要素に関しても,会話の開始や終了と割り込み許容度との関連性を確認した.現状では,さらなる会話やざわつきに関する指標の洗い出しの必要性があり,会話の自動検出精度も高める必要があることから,上記の達成度とした.
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今後の研究の推進方策 |
会話の自動検出による状況推定に関しては,ウィザードオブオズ法により有効性が確認されたため,会話の継続時間など,より多くの指標を用いることによる推定精度の向上を目指す.また,会話活性度と割り込み許容度の関連性も検討する. 室内の動きの自動検出に基づく状況推定に関しては,ざわつきに関しては適切に検出されていると考えられることから,会話検出との組み合わせることによって,室内で発生しているコミュニケーション状況の,より詳細な推定を試みる.また,作業者の位置と作業内容の関連性を利用した推定も同時に検討する.
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