研究課題
触覚は人間の有用な入力チャンネルであるが、それをペンインタラクションへの応用研究はほとんどない。効果かつ自然なヒューマンコンピュータインタラクションを開発するために、触覚出力モダリティのひとつ、振動(Vibration)と手の姿勢(Hand posture)を対象に研究した。まず、ペンコンピュータ操作のひとつ、ペンにおけるトラッキング(ホバー)状態について、マルチモーダルフィードバック(視覚、聴覚と振動、およびこれらの組合せ)の効果について、様々な条件(一・二次元タスク、直接・間接入力デバイス、フィードバックの位置)を用いて比較調査した。その結果、1)振動+視覚が操作の正確さを向上したこと、2)聴覚が有効でないこと、3)振動フィードバックが入力用の手やデバイス側に避けること、4)ホバー状態が直接入力デバイスに有用であること、を明らかにした。また、手(指)の運動感覚(姿勢)情報を用いた、連続ハンドグリップ認識アルゴリズムを提案した。これは手がペンデバイスを握る姿勢をさまざまな入力ツールを表現できるものである。実世界のツールを表現した12種類のツールを開発しその有効性を実証した。手の姿勢とデバイスとの間(ペンとタブレットの両者の角度)の組合せが自然およびシームレスなインタフェースの表現に利用できることを示した。本研究成果は、コンピュータの基本的な操作において、異なる触覚モダリティとヒューマンパフォーマンスの関係についての基本的な理解に貢献している。また本研究は、触覚モダリティをユーザインタフェースと自然なインタラクションに組み込むなど、ペンユーザインタフェースデザインに有用な知見を提供している。
1: 当初の計画以上に進展している
この期間、Human Computer Intpraction(HCI)研究分野における代表的な論文誌Behaviour&Information Technologyに論文1編を掲載した。また、同分野代表的な国際会議ACM ITS2011に1編、IFIP INTERACT2011に1編を発表した(採択率はそれぞれ33%,27.6%)。
今後の研究方針として、ペン多次元情報インタラクション、指多次元情報(マルチタッチ)インタラクション、触感インタラクションの研究について、被験者による実験的な調査を行い、国内外の研究者の協力を得ながら、進めていく。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Behaviour & Information Technology
巻: 30巻 ページ: 727-737
10.1080/0144929X.2011.633353