大画面上にある遠隔ターゲットの選択を容易にするため、ShifTableと呼ばれる新たな選択技法を開発した。この技法を用いて、遠隔ターゲットの方向へユーザーが指またはペンを動かすと、画面全体が、指またはペンを動かす反対方向へ指またはペンのスピードより速くシフトされる。これにより、ターゲットを容易かつ迅速に選択できる。この操作技法の有用性を従来の操作法と評価するため、2つの実験を行った。ShifTableとの比較対象は、直接選択(ベースラインとして)、Gesture Select(これまで最も優れているもの)、およびPan(商用アプリケーションなどで広く使用されるもの)という3つであった。実験1では、ShifTable、直接選択とGesture Selectを比較した。その結果、選択時間においては、ShifTableは直接選択とGesture Selectよりもかなり短かった。エラー率においては、ShifTableはGesture Selectよりも少なかった。実験2では、高齢者を用いてShifTableとPanを比較した。その結果、ターゲットをコピーして貼り付けるという実験タスクをPanよりShifTableがより速く完成した。以上の2つの実験より、ShifTableはユーザーが大型ディスプレイ上で遠隔ターゲットを簡単かつ自然に選択することができることを実証した。また、この直感的な技術を高齢者たちがより広く受け入れられるようにするために、ユーザビリティの問題についても考察した。 本研究は、ペン・指による容易かつ直感的な大画面遠隔ターゲット選択技法の実現とそれを用いた研究のための有用な知見、およびペン・指入力のインタフェースへのデザインに有用なガイドランを提供した。
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