研究概要 |
人に対して能動的にサービスを提供する自律システムが生活環境に多数遍在する状況が訪れようとしている。個々のシステムが「どの人にどのような働き掛けをどのように実行するのかを決定するプランニング」を行う必要があり、その際に重要となるのが,「個々のシステムがお互いに如何に連携してプランニングを行うか」という問題である。典型的な連携形態としては,(1)直接協調型,(2)間接協調型,(3)中央集権型,の3種類が考えられ,初年度においては,直接協調型と間接協調型の関係について検討を行った.次世代交通制御問題において,各交差点の信号機をエージェントとし,これから分散協調して信号機制御を行う枠組みを提案した.平常時においては,各エージェントは互いに独立して動作しスプリットの計算を行う.具体的には,自身が管理する交差点に流入する交通流に基づいてスプリット値を自律的に制御するが,その影響は交通流の変化を介して,他のエージェントに影響を及ぼす.つまり,交通流をエージェントにおける環境と位置づけ,交通流の変化を介してエージェント同士が「間接協調」を行うことで,突発的なイベントに対して即応することを可能とする.一方,上記ラッシュ時においては,グリーンウェーブを形成するために,関連するエージェント同士が「直接協調」を行い,お互いのオフセット値を適切に設定することでスムーズな交通流を形成する.各エージェントは,通常状態においては間接協調にて動作するものの,上下の交通流のバランスが崩れ,グリーンウェーブを形成するための条件を満たすエージェントが現れると,このエージェントを起点として,関連するエージェント同士においてのみ直接型協調が行われる.よって,直接協調を行うエージェントグループは,これまで間接協調によって安定していた系に対する外乱となるのだが,他のエージェントは引き続き間接型協調を行うことから,この変化に即応することが可能である.
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