研究課題/領域番号 |
23300058
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
栗原 聡 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30397658)
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研究分担者 |
菅原 俊治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70396133)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マルチエージェント / プランニング / 協調メカニズム / 交通制御 / 中央制御 / 動的適応 / 連携形態 / 間接協調 |
研究概要 |
人に対して能動的にサービスを提供する自律システムが生活環境に多数遍在する状況が訪れようとしている。個々のシステムが「どの人にどのような働き掛けをどのように実行するのかを決定するプランニング」を行う必要があり、その際に重要となるのが,「個々のシステムがお互いに如何に連携してプランニングを行うか」という問題である。典型的な連携形態としては,直接協調型,間接協調型,中央集権型,の3種類が考えられ,初年度においては,直接協調型と間接協調型の関係について検討を行った.次世代交通制御問題において,各交差点の信号機をエージェントとし,これから分散協調して信号機制御を行う枠組みを提案した.平常時においては,各エージェントは互いに独立して動作しスプリットの計算を行う.具体的には,自身が管理する交差点に流入する交通流に基づいてスプリット値を自律的に制御するが,その影響は交通流の変化を介して,他のエージェントに影響を及ぼす.つまり,交通流をエージェントにおける環境と位置づけ,交通流の変化を介してエージェント同士が「間接協調」を行うことで,突発的なイベントに対して即応することを可能とする.一方,上記ラッシュ時においては,グリーンウェーブを形成するために,関連するエージェント同士が「直接協調」を行い,お互いのオフセット値を適切に設定することでスムーズな交通流を形成する.各エージェントは,通常状態においては間接協調にて動作するものの,上下の交通流のバランスが崩れ,グリーンウェーブを形成するための条件を満たすエージェントが現れるとこのエージェントを起点として,関連するエージェント同士においてのみ直接型協調が行われる.よって,直接協調を行うエージェントグループはこれまで間接協調によって安定していた系に対する外乱となるが,他のエージェントは引き続き間接型協調を行うことからこの変化に即応することが可能である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来は両立させる枠組みについての議論が希薄であった間接協調と直接協調の連携について具体的な応用を念頭とした連携方法の提案,およびその性能評価を行うことが出来ている.さらに,中央制御型と間接制御型を動的に連携させるメカニズムについても提案も今年度において提案することができている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度においては,昨年度提案した中央制御型と間接協調型連携アルゴリズムの精緻化ならびに関連手法との比較評価を行うとともに,連携機構に直接協調型を組み込む部分を行う.また,シミュレーションだけでなく,実ロボットによる実環境でのアルゴリズム動作の確認並びに性能評価を実施する.家庭環境やオフィス環境を模した迷路のような環境を作製し,その環境内で各個人に見立てた複数台のロボットが出発地点から目的地までのスムーズな移動を行うための協調プランニング問題を実装する.目的地点までの移動に際しては,基本は最短経路を探索するものの,複数台のロボットが同時に移動する状況であることから交差や狭い通路での出会い頭など様々な競合状況が発生する.また,移動経路によっては障害物が置かれており,グリッパを搭載したロボットであればこれを除去することも可能であるが,搭載しないロボットは動的に経路を変更する必要が発生する.中央制御型プランニングはサーバにて稼働させ,間接制御型プランニングは各ロボットに搭載されたCPUにて実行させる.このような状況において,出発地点から目的地点までの移動を繰り返しつつ,中央サーバや各ロボットでのCPUでの負荷に適応して動的に中央制御と間接制御を自律的に切り替え,ロボットの協調形態が変化する実験環境を構築し,動的変化度や環境の複雑度を変化させつつ提案する動的協調形態アルゴリズムの評価を行う.
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