フィリピンとベトナムの研究者との共同研究により、現地での被験者実験を行った。脳波計 Emotiv についての経験も積んだ。毎年2回開催している国際会議については、本年度は北京でのIJCAI-13の併設ワークショップを一回、マニラでWCTP-2013をそれぞれ開催し、情報交換を進めた。各種センサとアンケートを総合的に組み合わせ、被験者実験の結果を得た。脳波計 Emotiv を用いた実験は、教育、情報および人工知能の学会では、好感を持って評価されている。手軽なデバイスでの評価は、個人教育システムやゲームなどの応用と結びつきやすく、アジア諸国を含む広範囲において、多人数を用いた実験に発展させやすいためである。 それに対して、脳の研究者からは、Emotiv での測定結果にノイズが多いこと、発汗などの他の条件の影響が考えられることなどの点を危惧する声があり、学術面からの評価が必要である。そこで、新たに研究臨床用の脳波計を購入し、比較実験を実施した。 作曲には遺伝的アルゴリズムを用いてきた。遺伝的アルゴリズムは、染色体表現、遺伝的操作及び適合度関数の実装が非常に重要である。音楽の即興過程を基にしたアルゴリズムであるハーモニーサーチは、音楽分野では取り上げられたことがなかった。昨年度はその組み込みと評価を行い、優れた点と不十分な点を明らかにした。本年度は音楽の専門家を交え、結果の質の向上を目指した。遺伝的アルゴリズムは和音進行だけを生成し、旋律生成システムにより旋律を付加した。音長規則等を学習することによりリズムの生成も行った。これまでの研究で、1曲の演奏中でユーザの感情を実時間で調べることが可能になったので、各部分の評価の収集も試みた。
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