研究概要 |
本研究の目的は、以下である。 ・申請者が発見した要件事実論と論理プログラミングの対応関係を用いて、民事裁判における要件事実論にもとづく法的推論手法を計算システムとして実装する。 ・そのシステム上に民法および民事判例を知識ベースとして構築して、実務や教育の場面で試用することで論理プログラミング技術を法的推論へ実用的に応用できるかを検証する。 今年度は、要件事実表現用ルール記述言語を使って、法律の知識のある特任研究員を雇用し、申請者と共同で民法や判例の知識ベースのプロトタイプシステムを作り上げることを行った。その際に記述した知識ベースの妥当性を検証するため、要件事実論の教科書の演習問題をルール記述言語で記述し、その紛争解決過程が専門家と一致するかのチェックを逐一行った。 民法では、民法総則、物権法、契約法(契約総論および契約各論)、親族法、相続法があるが、現在、主に対象にしているのは、契約法である。今年度は契約各論を重点的に実装した。しかし、上記の問題集を解くには、他の部分の実装も必要であった。そのため民法総則や物権法周りの実装も同時に行った。 さらに、本研究の拡張性を検証するために著作権法の実装も行っている。 また、法的オントロジーを構築し、より見通しのよい知識表現についての検討も行っているが、その構築はできるだけ自動化した方がよいため、今年度は、オントロジーを構築するために,概念間の距離を測るための手法を研究開発した.その結果,従来手法と比べて,人間に近い概念間の類似性判断が可能となった。 自然言語処理による法的述語の判例や民法からの抽出については、初期的検討を行った。
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