研究課題/領域番号 |
23300064
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
亀田 能成 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70283637)
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研究分担者 |
大田 友一 筑波大学, 副学長 (50115804)
北原 格 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70323277)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 拡張現実 / 複合現実感技術 / 画像処理 / 時空間解析 / 可視化 / 知能情報 / 4D映像 / RGB-Dカメラ |
研究概要 |
環境型カメラは、安心安全な社会の促進の観点から、その数を増やしつつあるが、その利用方法として、利用者(アクセス者)個々人に利のある形でのフィードバックが実現できていない。この実現のためには、環境型カメラ撮影しているアクセス可能スペースの解析の深化と利用法(可視化)が重要であると考えられる。そのための平成25年度の研究として、3つの目標を掲げていた。それぞれについて、概ね期待していた通りの研究成果を挙げることができている。 (H25-1)「アクセス可能スペースを対象とする可視化」については、新たにRGBDカメラを活用し、スペース内を、静的な要因と動的な要因に分離して効果的に可視化する方法について、基礎技術を確立した。 (H25-2) 「エゴモーションを含む環境カメラに基づく撮影対象空間の解析」については、経路移動を伴って事前に撮影した環境カメラ映像と、アクセス者の現在時刻での視点で撮影する映像との間で対応を取る方法について、そこに用いる画像特徴量表現の特性解析を行った。 (H25-3) 「複合現実感技術による記録された人物の可視化」については、撮影対象が人間である場合、ヒューリスティックスを用いて、その人間の時空間記述をコンパクトかつより高精度に可視化していく方法について研究を進めた。本件については、スポーツ(サッカー)を題材にし、映像としての可視化において、利用者が希望する視点に対して、選手間の重なりがなく見やすい視座に知的に誘導する方法を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度での研究課題として予定していた3つの個別課題については、概ね研究目的を達成することができた。 (H25-1)「アクセス可能スペースを対象とする可視化」については、Microsoft社のKinectセンサを用い、静的要因と動的要因を効率よく分けて記録・可視化出来る方法について基礎技術を確立することができた。これについては、The 23rd International Conference on Artificial Reality and Telexistenceにて口頭発表を行い、電子情報通信学会マルチメディア仮想環境基礎(MVE)研究会にて発表した。 (H25-2) 「エゴモーションを含む環境カメラに基づく撮影対象空間の解析」に関しては、本年度順調に解析を進めることができた。その成果については第20回画像センシングシンポジウムと電子情報通信学会マルチメディア仮想環境基礎(MVE)研究会にて発表済である。 (H25-3) 「複合現実感技術による記録された人物の可視化」については、サッカー試合スペースをアクセス可能スペースとして捉え、知的な可視化手法の提案を行った。これについては、2014年3月に電子情報通信学会マルチメディア仮想環境基礎(MVE)研究会で発表し、MVE賞を受賞した。また、現在論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画は来年度が最終年度となるため、環境カメラの時空間解析によって得られるアクセス可能スペースの可視化方法の集大成を目指す。 課題1.アクセス可能スペースを対象とするMR方式可視化 アクセス可能スペースは時空間的に広がりをもつので、その3次元的記録も時空間的要素を含んでいる。一方で、眼前の現実のスペースには、記録時とは異なる物体や人物が存在している可能性がある。これまで研究してきた手法では、過去と現実の事物の重複を検知していないため、それぞれの事物が重複する場合、その可視化に問題があった。そこで、事物の重複を検知・回避する知的な可視化手法を研究開発する。 課題2.研究評価プラットフォームの構築 最終年度に当たり、これまでの成果を学術発表するだけではなく、追試験できる形でプログラム実行環境を提供することを目標とする。拡張現実や複合現実感技術を駆使する本研究では、第三者が追試を行えるだけのプログラム実行環境を用意してもらうためには、ハードウェアを入手し、対応するライブラリを適切に整備してもらう(環境整備の)必要がある。この手順が実際には再現実験の大きな障害となっている。そこで、ソフトウェア開発環境の整備方法についても研究を進め、ハードウェア・ライブラリ等の環境整備を簡単化し、外部からの研究成果プログラムの適切な評価を可能にするプラットフォーム構築を目指す。
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