研究課題/領域番号 |
23300073
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
角所 考 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50263322)
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研究分担者 |
北村 泰彦 関西学院大学, 理工学部, 教授 (00204917)
岡留 剛 関西学院大学, 理工学部, 教授 (20396120)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 実世界観測 / 人物行動 / インタラクション / 社会性 |
研究概要 |
本研究では,実世界の複数の人や物のインタラクションの状況を,カメラ等による観測情報に基づいて認識するための処理の方法論として,(A)複数人・物間の相互関係を記述する社会性モデルの構築方法,(B)インタラクションの継続観測によるモデルの環境への適応方法,(C)社会性モデルに基づいた不完全な観測情報の補完を伴うインタラクション状況の認識方法,の3つを明らかにすることを目的としている.過去の年度では,主に上の(A)を中心とした研究成果が得られているため,本年度はこれをさらに発展させると共に,(B),(C)に関連する研究課題への取り組みを強化した.主な成果の要点は以下の通りである. 1.TVのニュース番組等の対話シーンでは,視聴者に見せるための出演者間の対話を実現するため,出演者間の視線一致と視聴者への顔向けのバランスが保たれている.このような視線配分の効果を被験者実験等で確認すると共に,擬人化エージェントによる再現のための数理モデルを構築した. 2.商店街のカメラ映像に基づく通行状況認識に関する前年度までの成果を利用し,歩行者間の距離に基づく歩行者グループの認識可能性について検討し,環境要因の一つとして歩行者数をパラメータに選ぶことで,歩行者間の距離から歩行者グループをある程度認識できる可能性を確認した. 3.対面インタラクション中の人間同士に見られる下半身配置の円環性に基づいて参与者グループを認識する昨年度までの成果を利用することにより,カメラでは観測が困難な各人の下半身位置・方向を,頭部位置と顔検出可能な顔方向から推定できる可能性を明らかにした. 4.センサデータからの行動推定におけるラベル付けコスト削減のため,極少数にだけラベルをつけた半教師あり学習の実現を目指し,カーネルロジスティック回帰を半教師あり学習に拡張した半教師ロジスティック回帰モデルを提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,本研究の3つの研究課題のうち,これまで取り組みが十分ではなかった(B),(C)に対する取り組みを強化し,まだ初期段階ながら興味深い成果を得ている.また,当初想定していなかったような新たな研究のテーマや方向性についても,様々な可能性が萌芽的に現われつつある.このように研究内容自体は多様な展開を成し遂げつつあるものの,本研究課題開始当初に設定した研究計画と照らし合わせると,取り組みが必ずしも十分とはいえないものも認められることから,研究期間の最終年度を迎える現段階での成果としては,やや遅れが見られるかと判断した.
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今後の研究の推進方策 |
上述のように当初設定した計画の達成度の面ではやや遅れが見られるものの,当初想定していなかったような非常に興味深い新たな研究のテーマや方向性も多数芽生えつつある.次年度は,本研究課題の実施最終年度にあたるため,これまでの成果の完成度を高めて対外発表等の成果物につなげていく一方,新たな研究の萌芽についてもその可能性をできるだけ掘り下げ,次なる研究課題の創出に結び付けたいと考えている.
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