研究概要 |
本申請課題では,画像から稀な現象を検出するための【画像からのコンテクスト抽出とそれを利用した画像認識】という枠組みを検討する.医用画像からのがん病変の検出など,稀な現象を対象とするためには頑健な画像処理手法が望まれる.しかしながら画像処理には誤りがつきものでもある.そこで,過去の事例を事前分布とし,年齢や性別などの画像外の情報も利用して医用画像から対象画像を認識するのに利用可能なコンテクストを求め,それを領域(病変や臓器)を検出するために最大限に利用する認識手法の開発を行目指すものである.今年度の成果に関しては以下に要約される. ・画像データの整備 100例以上の胸腹部X線CT画像を新たに収集し,コンテクストを抽出するために利用を想定している情報を整備した.年齢,性別に加えて,安定して検出が出来そうなランドマーク,体形(脂肪や筋肉の過多)などについて整備した. ・画像からの基本的なコンテクスト情報の抽出 前項にも関連するが,画像からのコンテクスト情報としてランドマーク検出,脂肪領域と筋肉領域の抽出手法を開発した.なお,脂肪領域の過多をコンテクスト情報として用い,脂肪量に応じた手法を採用することで,肝臓領域の抽出精度が向上するという知見を得た. ・一般のコンテクストベース画像パターン認識の開発 人間の認知行動や視覚特性が判断にどの様に影響するのかに付いての調査研究を進めた.視線や行動に基づき人間の行動や予測手法や,コンテクストとして対象の視認性を測る手法を開発した.
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今後の研究の推進方策 |
診断画像の領域分割という観点からは,コンテクストの利用が有効であるという知見は得られてきているので,今後も開発・研究を進める.手術中の映像など,コンテクストが常に変化している様な状況下で,コンテクストの抽出とそれを利用した医療支援など,本研究課題の考え方を展開することが可能と考えており,これらについても精力的に取り組む.また,引き続き医学との共同につとめ,情報交換やデータの整備を進めていく.
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