研究課題/領域番号 |
23300076
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
目加田 慶人 中京大学, 情報理工学部, 教授 (00282377)
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研究分担者 |
北坂 孝幸 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (00362294)
長谷川 純一 中京大学, 情報理工学部, 教授 (30126891)
村瀬 洋 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (90362293)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 画像処理 / パターン認識 / コンテクスト / 医用画像 |
研究概要 |
本申請課題では,画像から稀な現象を検出するための【画像からのコンテクスト抽出とそれを利用した画像認識】という枠組みを検討する.医用画像からのがん病変の検出など,稀な現象を対象とするためには頑健な画像処理手法が望まれる.しかしながら画像処理には誤りがつきものでもある.そこで,過去の事例を事前分布とし,年齢や性別などの画像外の情報も利用して医用画像から対象画像を認識するのに利用可能なコンテクストを求め,それを領域(病変や臓器) を検出するために最大限に利用する認識手法の開発を行目指すものである.今年度の成果に関しては以下に要約される. ・画像データの整備 CT画像データについては,引き続き拡張を行なった.また,腹腔鏡下手術での胃摘出手術映像とその被験者のCT画像の同時整備を進めた.10例程度の映像について,数秒毎に手術中の状況に関するタグを付与した. ・画像からの基本的なコンテクスト情報の抽出 前項にも関連するが,画像からのコンテクスト情報として,手術映像における大まかなシーンの分類を行なった.これは,事例参照に基づく方法であり,内視鏡カメラの状態や,手術中の鉗子による脂肪剥離などの操作の確率を求めるものである.今後の手術映像の詳細解析のためのコンテクスト情報として利用することを考える. ・一般のコンテクストベース画像パターン認識の開発 人間の認知行動や視覚特性が判断にどの様に影響するのかに付いての調査研究を進めた.視線など行動や外界の状況(ビジュアルノイズ)に基づき人間の認知行動予測を行なうためにどのような画像・映像特徴がコンテクストとして利用可能であるのかについて検討を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定している計画に加え,新たな研究の方向性も見つけられるなど,研究は順調に進んでいると判断している. CT画像などの医用画像のセグメンテーション結果をコンテクストとして利用するためのソフトウエアや環境は十分に整備出来た. 腹腔鏡下手術の様に,高度な技術が必要とされかつ,それを狭い視野で行なわなければならない様な手術映像の実時間解析や事後解析に,医用画像のセグメンテーション結果,ならびに,手術映像におけるシーン分類結果をコンテクストとして利用することの検討を始め,その初期的な結果をいくつかの学会で発表するなど,研究は順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
腹腔鏡下手術支援のために,その被験者の医用画像(CT画像)のセグメンテーション結果とその被験者の手術映像のシーン構造解析結果をコンテクストとして利用し,手術が順調に進んでいるか否かといった手術適切性を認識するという問題についての研究を進める. 手術対象者の術前医用画像の解析については,対象臓器に関連する血管やリンパ節の検出が重要であるが,これらの精度を更に向上させる. 手術映像の解析については,その手術映像の実時間解析だけでなく,同一手技の手術映像から,これらの統計的な画像特徴に関する情報を利用可能にする事に取り組む.手術時間の異なる複数の映像に対して,同じ処置をしているという観点で意味的に等しい部分の同期をとる手法について検討し,手術の時間経過に応じたコンテクストの利用方法を検討する. また,引き続き医学との共同につとめ,情報交換やデータの整備を進めていく.
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