研究課題/領域番号 |
23300077
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
稲邑 哲也 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (20361545)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Human-Robot Interaction / 仮想現実 / 知能ロボット / 機械学習 |
研究概要 |
平成25年度は以下の3点について研究を進めた. (1)対話可能なシミュレーション基盤を活用したロボットのための道具利用モデルの獲得:ロボットが道具を用いて対象物を操作するタスクにおいて,使用した経験の無い未知の道具を用いる際に,ユーザに適切な質問を行うことで道具利用モデルの獲得を効率化する研究を進めた.具体的にはBayesian Network(BN) によって,道具の持つ幾何学的特徴・道具を動かす軌跡・対象物の動き,の3点の関係性を記述し,道具の使用すなわち道具を動かす軌跡を推論する際の信頼度が低い場合に, BNが出力する確率を用いて効果的な質問を決定する枠組みを確立した. (2)物体の多様な見え方の変化を学習するためのシミュレータ環境の応用:ロボットが日常生活空間で用いられる日用品を画像情報に基づいて認識する際,照明条件の変動によって認識が失敗するという問題点に対して,シミュレーション環境を用いた見え方の変動モデルの学習を提案した.具体的には,色温度や光源の方向などの照明条件の異なる朝・昼・夜における対象物体の様々な見え方の映像データベースをシミュレータを用いて収集し,照明条件の変動を修正するモデルを構築しその有効性をシミュレーションを利用して確認した. (3)RoboCup@Home Simulation の実施と対話行動認識研究への展開:RoboCup@Home は,サッカー競技で有名なRoboCupが対象としているタスクの一つであり,知能ロボットがリビングやキッチンにおいて人間と対話を行い,飲み物を運ぶなどのタスクを遂行する競技である.この競技を本研究課題で開発したシミュレータを用いて計算機上で実行可能なシステムを構築した.このシステムを用いて実際のRoboCup競技を実施し,参加者から提出されたロボットの行動プログラムを用いて行動認識・行動学習の研究を推進させる研究プラットフォームの体制を整えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載した通り,3つのアプローチで研究を展開・推進しており,道具の利用・画像の見え方変動への対応,という知能ロボットで頻出する課題に対してシミュレーションを活用したソリューションを提案してきている. さらに,RoboCup@Home Simulationを実現した事により,インターネットを介して多くのユーザが様々な知能ロボットのプログラムを仮想世界に集める体制が整ったため,知能ロボットと人間との対話についても同様にインターネットを介して大規模に収集できる目処がついた.このデータベースによって研究が大きく推進できる体制が整った. これらの理由により,部分的には当初計画していた内容とは異なる内容も含まれるが,大きく研究がステップアップする可能性を持つテーマの再設定が可能となったため,順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
RoboCup@Home Simulationを実現した事により,インターネットを介して多くのユーザが様々な知能ロボットのプログラムを仮想世界に集める体制が整ったため,知能ロボットと人間との対話についても同様にインターネットを介して大規模に収集できる目処がついた.このデータベースによって研究が大きく推進できる体制が整った. 主に,対話に基づく言語獲得や概念獲得などの研究への展開を狙い,実機ロボットでは難しい大規模長時間の対話を活用した知能ロボットの機能についての研究を平成26年度にとりまとめる予定である.
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