研究概要 |
本年度は,まず,複数の人が会話を行う「場」の状態を表わす指標を整理し,これらの中から重要なものを計測できるセンサの種類の検討を行った.「場」の状態を表わす指標として,個人ごとの発話量や手・頭の動きに加えて,視線や対人距離,また複数人によるこれらの行動の同時性など複合的指標を加え,「場」の状態への影響度を算出して,「場」の状態を定義した.そして,コミュニケーションの活性度として「場」の状態を判断するために重要なデータを取得できるセンサを確定して実験環境に配置した.そして,これらを利用して,その計測結果から「場」の状態を自動的に推定できることを示す実験システムを試作した.センサを装着した初対面の3人の参加者で会話し,取得したセンサデータからその「場」の状態を評価する実験を行った.具体的には,センサによって取得されるデータから表される各指標を用いて「場」の状態を表わす重回帰式を示した. また,来年度以降の情報コンテンツの提示と「場」の状態の関係を解明する実験に向けて,テーブル型情報コンテンツとアンビエント情報コンテンツを試作した.テーブル型情報コンテンツでは,3人によって囲まれる領域内に情報コンテンツ提示用のテーブル型ディスプレイを配置した,アンビエント情報コンテンツでは,創発の考え方に基づいて,コンテンツの個々の要素が状況に応じて自律的に離合集散を繰り返しながら新たなコンテンツを自動的に作り出す新しい情報コンテンツ制作のアルゴリズムを検討した.
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