研究課題/領域番号 |
23300083
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
斎藤 美穂 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (90288043)
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研究分担者 |
石田 泰一郎 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90232305)
枝川 義邦 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (50303607)
松居 辰則 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20247232)
三浦 久美子 早稲田大学, 人間科学学術院, その他 (20548705)
村松 慶一 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (30634274)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 感性情報 / 色彩 / 調和感 / 多層モデル / 多感覚 / 印象空間 |
研究概要 |
色や音や香りといった感性情報の調和感の生成メカニズムを多層的にモデル化し、色彩を中間言語(媒介)とした感性情報の統合的管理手法を構築するという本研究の目的を達成するために、平成24年度もそれらに関わる基礎的な実験や調査を実施し、国内外の学会等でその成果を発表した。本来、色彩を含めた感性情報は、各々独立した印象群であり、個別の印象空間を持つと思われるが、それらの印象空間はお互いに共通する部分空間を持つことが予測され、その部分空間の類似性が「調和感」と強い関係があるとの知見を、研究代表者のこれまでの研究成果から得ている。この発想に基づき平成24年度に実施した具体的な研究実績を示す。 1)感性情報(色彩と香りに関して):より明確な普遍性と法則性を求めることを目的として、香りの種類を増やし、色彩との共通軸を抽出した。 2)感性情報(色彩と音に関して):楽曲を用いた色彩の属性と音高・テンポ・調性との関連を明確にするための実験を行った。さらに単音と色彩との関係をも明らかにする基礎的実験を行い、印象軸を抽出するとともに、これらの成果を平成25年度の国際学会で発表予定とした。 3)感性情報(照明の印象空間に関して):照明の色と明るさの変化が印象空間にもたらす影響に関する基礎的実験を行い、その結果は平成25年度の国内学会で発表予定である。 4)調和感と脳活動の関係性を明らかにするためにfMRIを用いた実験を行い、調和時に主にOFC(眼窩前頭前野)、島、中脳の賦活が見られたことから調和感と報酬系や自律神経系との関連性も示唆された。この結果は平成24年度の国際学会で発表した。主たる成果は以上であるが、平成24年度も6回の研究会を実施する中で、研究メンバーと研究の報告性や進捗状況の定期的な確認を行った。また多くの議論を通して、さらに研究の精度を高めるための方針を模索し、一定の方向性と実績に結びつけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数理モデルに関連した方針および脳科学的な視点からのモデルも、これまでおよそ2ケ月に1度の割合で開催している研究会等の活動を通して方向性が確定し、色彩を媒介とした印象空間を構成するための実験も問題なく進んでいると考えられるため、研究目的の達成に向けておおむね順調だと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
色と香りに関する実験と分析は、これまでの研究期間でおおむね基礎的な部分を終了させており、色彩を媒介とした印象空間を構築できたものと考えられる。また照明に関連する実験も昨年度の研究において基礎的な部分を終了させている。さらに音刺激に関しては昨年度から楽曲のみならず単音での検討も加えられており、それらの成果を平成25年度の国際学会等で発表予定にしている。本年度の研究推進方策としては、1)色・音・香りの多感覚が融合する共通軸を求める、2)数理的なモデルに関してはオントロジーを用いて記述する、3)嗜好に関連したモデルに基づいた脳科学的な視点からの記述、の3点を主なものとする。 なお、研究を遂行する上での問題点は今のところ特筆すべきものは存在しないと思われる。
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