研究概要 |
心筋梗塞は冠動脈内に堆積したプラークの破綻により引き起こされる.プラークの破綻を予測する上で,プラークの組織性状を知ることは非常に重要である.本研究の目的は,冠動脈内に挿入したカテーテルから得られる超音波信号を基に,ソフトコンピューティング(人間の情報処理に似た柔軟な知的情報処理)により,プラークの組織性状と構造を手術室のベッドサイドで瞬時に2Dと3Dで表示するシステムを実用化することである.これにより,動脈硬化の早期発見および早期治療に貢献することができる,平成23年度では,以下のことを行った, (1)組織性状判別アルゴリズムの精緻化 申請者らが提案していた組織性状判別アルゴリズム(MkNN法,スパース・コーディング,カオス・フラクタル解析など)の内,MkNN法に焦点を絞ってそのアルゴリズムの精緻化に付き研究を行った. (2)プラーク領域の自動抽出 動脈硬化診断のためには,1本の血管に対して数百枚もの血管断面画像を処理する必要があり,真に実用化のためには,各画像毎にプラーク領域を自動抽出するアルゴリズムが必要である.画像の分離度と新たにPSO(Particle Swarm Optimization)を導入して,プラーク領域の自動抽出を行った. (3)高速な組織性状判別アルゴリズムの新たな提案 実用化のため,判別アルゴリズムの高速化を更に進めた. (4)臨床データの収集 共同研究機関の日本大学医学部付属病院において,患者の冠動脈め超音波データ(RF信号データ)を引き続き収集した.
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今後の研究の推進方策 |
今後はプラーク領域の自動抽出,組織性状判別結果の更なる精度向上,判別部の高速化に取り組むと共に,スパースコーディング,カオス・フラクタル解析に基づく組織性状判別アルゴリズムの確立を行う.また,臨床データの収集は共同研究者と連絡を密に取り,引き続き行う.
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