研究課題/領域番号 |
23300087
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
行木 孝夫 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40271712)
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研究分担者 |
池田 大輔 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (00294992)
山地 一禎 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (50373379)
青山 俊弘 鈴鹿工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (00373259)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 機関リポジトリ / デジタルリポジトリ / サブジェクトリポジトリ / 学術情報流通 / 価値付与サービス / スモールサイエンス |
研究概要 |
平成24年度の研究実績は以下の通りである。 成果発表として国際会議OpenRepository2013へ参加し、研究組織から3件の発表を行った。また、2nd International Conference on Academic Libraryへ参加し、1件の発表を行った。詳細を学会発表等の項に示す。 リポジトリシステムの一つWEKOを拡張し、メタデータを柔軟に付与するSarabiWEKOについての機能を検討、実装した。DSPace, EPrintsをはじめとするリポジトリシステムはユーザ側でメタデータを設計することが難しく、研究者コミュニティの側でリポジトリコンテンツを有効に利用する場合の障壁を高くしている。SarabiWEKOではこの問題をバックエンドのRDB内で解決したが、後述の通り、非RDB型の実装を考察している。 リポジトリコンテンツの効果的な再利用およびインターフェースの実現に向けて、リポジトリコンテンツへのアクセス状況と時事的背景との関連性について小規模大学の機関リポジトリのログを利用して解析した。特に大きなイベントが生じた場合には感覚的に有意な変化を見られることを端緒として開始した解析であるが、通常の時事的な背景については難しい。 非RDB型のデータベースをバックエンドとするリポジトリシステムの考察を行った。テーブル構造を基本とするRDBと異なり、本研究課題の追求する柔軟なリポジトリシステムを構築する場合の強力なツールとなる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成度について、概して順調に進展している。 第一にユーザモデルの形成について、研究者コミュニティの側で柔軟にリポジトリコンテンツを活用しうるリポジトリシステムを提案しつつある。学術情報流通の一翼を担うはずの機関リポジトリにおける一つの問題点であるが、これを解決する方向性を打ち出せている。また、サブジェクトリポジトリとの関係としても機関リポジトリとのメタデータレベルでの融合を研究者コミュニティレベルで果たすことが可能となることから、重要な進展を得られていると判断できる。 システム構築に関しては、WEKOをベースとしたSarabiWEKOを提案することができている。上記の概念を実装したことに相当し、研究目的に関する順調な進展を示している。更に、非RDB型のデータベースを利用するアイデアを検討することで、既存のリポジトリシステムにとどまらないシステムを構築する可能性が得られた。これは予想以上の進展である。 データモデルの構築に関しては、特定の研究者コミュニティに関わるコンテンツを中心に具体的な設計に入るため、今年度以降の課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究組織による数回のワークショップ形式による議論により、研究目的であるフレームワークの構想、設計、モデル化を行う。 ユーザモデル形成:本研究では、研究コミュニティから外部への情報発信と、研究コミュニティ内部におけるコンテンツ共有とについて、学術情報流通の視点からデジタルリポジトリを捉え直す。 システム構築:今年度は昨年度に引き続きWEKO、EPrints等のリポジトリシステムをベースとし、リポジトリ間のコンテンツ共有のプロトコルとしてはSWORDを、メタデータの概念的モデルとしてはOAI-OREを利用できる。 データモデル:ユーザモデルに依拠したシステムを実現するために、コミュニティの核となるデジタルリポジトリを構築することで対象が明確となる。これを実現するために、コミュニティに合わせて設計できるデータモデルを検討する。
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