研究課題/領域番号 |
23300093
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
佐藤 大和 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (50401550)
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研究分担者 |
峰岸 真琴 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20183965)
益子 幸江 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (00212209)
岡野 賢二 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60376829)
降幡 正志 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (40323729)
春日 淳 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (80364925)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 超分節素 / 声調 / アクセント / 音声学 / 言語類型論 / 言語情報学 |
研究概要 |
・言語音声の基本周波数や持続時間等の音響要素が、超分節特性に及ぼす影響を検証するためのソフトウェア・ツール(SpitEditor)を実現した。本ツールにおける音声生成方法としては、波形編集に基づくPSOLA方式と音声の調和構造を実現する正弦波重畳方式の2方法が可能であり、表計算ソフト:エクセルを組み込むなど、利用しやすいツールとなっている。今後各種言語の声調や抑揚の聴知覚実験に利用される。 ・タイ語に関しては、前年度収録した5つの声調をもつ2音節語について、基本周波数(F0値)の測定を行うとともに、タイ国チュラーロンコーン大学言語学科から提供を受けたThai National Corpus 語彙頻度表に基づき、使用頻度の高い8音節語までの語彙を抽出し音声分析を進めた。その結果、第1音節が第2声ないし第4声をもつ場合には、軽音節化が多く見出されることなどが明らかとなった。 ・ビルマ語に関しては、軽声音節を含む語の声調との関連を調べるための音声収録をnative speakerを用いて行い、F0値と持続時間の計測分析を行った。特に、結合声調のF0パタンの形状分析を進めた。 ・ベトナム語の声調に関しては、分析のための畳語を主体とした語彙リストを作成し、native speaker による音声の収録を行って、第1音節と第2音節における母音・子音の持続時間とF0値の計測を進めた。また更に多くのパターンの畳語分析のための語彙の収集を行った。 ・インドネシア語のアクセントに関しては、schwaとの関係に着目した発話リストを作成し、インフォーマントに依頼し録音した音声データのF0値と持続時間の分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当年度は、各種言語の超分節素に関わる聴知覚実験のためのソフトウェア・ツールを完成させ、これを用いた超分節素の知覚研究を可能とすることができた。また、対象各言語におけるnative speakerによる分析音声素材の収録と計測分析も進捗し、全体として研究はおおむね順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
・完成した超分節素の聴知覚実験ツールを積極的に利用した実験を進展させる。具体的には、日本語では、アクセント感覚と音調パタンの関係に関する研究を推進する。他の声調言語では、声調を担う音響的手がかりを明らかにする研究に利用していく。 ・タイ語やビルマ語等の声調言語では、特に孤立発声における声調の規範的形式と、連続発声における声調の結合形式における音調パタンの差異が明らかになりつつあり、これらに着目した研究を進める。また、軽音節やschwaを含む語と超分節特性との関連も引き続き検討する。 ・各言語において、音声収録とその分析が進んでおり、最終年度であるためこれら研究成果のまとめ作業を行うとともに、理論的観点からの考察を行う。
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