1.収集資料のデータ化と年表機能の構築: 3つの時間基盤情報のうち、暦法変換については和暦とユリウス/グレゴリオ暦についてデータ化を完了し、変換機能をWebページ上で正式に公開した。さらに、中国暦などの新たな資料を収集するとともに、ベトナム、マレーシア、インドネシア、タイについて、暦の種類や利用の状況などの情報を収集した。年表機能については、時間情報システムHuTimeを改良して複数のデータセットからなる年表を同じレイヤに表示する機能やWeb上の年表情報を取り扱う機能を実装し、本研究で作成した年表を利用する仕組みを整えた。 2.機能提供の充実と検証: 暦法変換について、利用者から要望の多かった日付文字列の読み取りでの旧字や異体字に対応する機能を追加した。また、Linked Dataによる利用を想定し、個々の日付のURIを指定する仕組みとそれに応じて各暦による表現や関連情報へのリンクをRDFにより出力する仕組みを実装して試験的なサービスの提供を開始した。この過程で、暦を指定する識別子やAPIに実装すべきメソッドの種類もあせて検討された。さらに、収集した基盤情報の整理や利用を容易に進めるため、HuTime用のデータエディタを構築した。 3.機能評価と課題の提言: 暦法変換での日付文字列を読み取る機能について、東京大学史料編纂所と連携しながら実際の歴史文書で使用されている日付が正しく読み取れるかを検証した。この結果、古い月名への対応が課題として浮上した。 4.研究成果の安定的な提供: 本研究で構築したWebサイトを通じて研究成果を公開する体制を整えた。また、公開中の暦法変換については和・英のマニュアルを整備するとともに、出典などの詳しい情報を加えた。
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