研究課題/領域番号 |
23300099
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
日高 昇平 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教 (50582912)
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キーワード | 注視行動 / 意味認知 / 認知発達 |
研究概要 |
本研究の目的は、意味知識の構造的な発達過程を明らかにすることである。近年の研究では、意味知識を、概念と概念の関係性(連想性、類似性など)に基づいたネットワークとして捉える理論が成人のデータを基に提案されている。その一方で、乳幼児の大規模な意味知識の解析は困難であると考えられてきた。その理由は、乳幼児(1-3歳児)は個々の単語の理解は可能であっても、複数の単語間の関係を判断し、それを産出(発話)する事が困難であるためである。本研究では、意味の理解を非言語的情報から推定することで、この問題を打開し、乳幼児の意味知識の発達過程を明らかにする。 具体的に、本研究の到達目標を、言語的反応の得られやすさなどの技術的な制約の少ない順に、1.成人、2.3-6歳児、3.1-2歳児の3つの中間目標を置いた。既に、1.成人、2.3-6歳児に関しては、限定された単語群(50語)に関して、類似性判断が得られている。従って、この類似性データを指針として、注視行動などの間接的な行動指標を分析を行い(23-24年度)、この結果を足がかりとして、言語的な判断を得る事の困難な3.1-2歳児の類似性判断の推定に取り組む予定である(24-25年度)。 実際に、平成23年度では、実験で得られた成人・3-6歳児のデータ分析を行い、関連する学会・研究会(日本認知科学会・日本心理学会・日本発達心理学会など)にてその成果の発表をおこなった。具体的には、成人を対象に行った類似性判断と注視行動の関係性についての心理実験から、個人差はあるものの、いくつかの注視行動の指標(瞳孔径、固視点滞在時間の分布など)と類似性判断の結果との統計的な関連が明らかになった(日高昇平,鈴木義彦(2011).日本認知科学会第28回大会発表論文集)。さらに、海外の研究機関に所属する研究者から、乳児の連想学習実験における注視行動のデータ供与を受け、連携することで、乳幼児の視線行動の計算論的モデルの構築に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に従って、データの分析を行い、そこから意味認知に関わる視線行動のパタンを抽出することができた。これに加えて、計画では24-25年度に行う予定である乳幼児の注視データを説明する計算論的なモデルの提案に着手し、その一部の成果は、関連する国際学会で発表することが決定済みである事が理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策の柱として、実験的な知見を統一的に説明する計算論的なモデルの構築があげられる。海外の研究機関に所属する共同研究者から得られた乳幼児の連想学習実験のデータに基づき、既にこのデータの注視行動と学習内容を関連付ける計算論的なモデルの構築に着手している。このモデルの構築は当初計画では、最終年度の目標の一つであったが、予想以上に海外の研究者との連携がうまく行き、この計画を前倒しして実行に移すことが可能となった。従って、当初の計画のとおり成人→幼児→乳児という順を含むことなく、多層的・並列的にこれらのデータを分析・モデルの構築を行う事を予定している。これにより、当初計画よりも研究プロジェクト全体の進行速度の促進が期待できる。
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