研究課題/領域番号 |
23300102
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
岩木 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (70356525)
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研究分担者 |
中井 敏晴 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 長寿医療工学研究部, 室長 (30344170)
熊田 孝恒 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (70221942)
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キーワード | MEG / fMRI / 統合解析 / 脳領域間連関 / 因果モデリング / 三次元物体知覚 / 脳活動ダイナミクス |
研究概要 |
本研究では,脳内の様々な領域の協調的活動によって実現されている高次かつ主観的な視覚体験の神経機序を解明するためのツールとして,脳活動の時空間ダイナミクスと領域間相互作用データから高次視覚体験の神経情報を復号化(デコード)する技術の確立を目標としている.高次視覚処理に基づく視覚表象の成立は広範な脳領域における活動の相互作用により実現されていると考えられ,その主観的な知覚体験を復号化するには,局所的な脳活動空間パターンのみならず,広範な脳領域にまたがる神経活動間のマクロな連関を考慮する必要がある. この目標に向けて今年度は,主申請者がこれまでに構築してきたMEG/EEGとfMRIデータの統合解析手法を基盤にした,脳活動の時空間的特徴(部位,潜時・活動時間)を,高精度に抽出する手法の開発を行った.さらに,統合解析アルゴリズムにより得られる高精度な脳活動データから,因果モデリング技術を用いて,各活動領域間の相互作用を定量的に評価する手法を開発し,実際のfMRI/MEGデータへの適用実験を進めた. 一方,三次元知覚の明瞭度をパラメトリックに制御できる三次元物体知覚実験課題の設計を行ったところ,3次元物体の心的操作パフォーマンスの被験者間のばらつきが所期の想定以上に大きく,脳活動計測結果への影響が大きいことが明らかになった.これを踏まえて,ランダムドットの大域的な動きと印加ノイズを制御する三次元物体知覚課題設計のための基礎的な検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の主な目標である,MEG/EEGとfMRIデータの統合解析による脳活動の高精度な解析手法の開発と,因果モデリング技術を用いた脳内の各活動領域間の相互作用を定量的に評価する手法の開発は順調に進展した.また,三次元物体知覚実験課題の設計も,ほぼ計画通り進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年中に三次元物体知覚実験に関するfMRIとMEGデータ取得の大部分を完了する.平成25年度には,すでに開発した脳活動ダイナミクス解析技術を適用して,三次元物体知覚課題遂行中の高精度な脳活動再構成結果を得,さらに活動する領域間の連関を定量的に評価する.平成26年度以降研究期間終了までに,当初の目標である三次元物体知覚の神経基盤である脳領域間の神経連関の定量評価結果から,三次元知覚の主観的明瞭さを予測できるモデル(主観的知覚変化を復号可能なデコーダ)の構築を目指す.
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