研究課題/領域番号 |
23300112
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
HORTON Paul 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 総括研究主幹 (00371071)
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研究分担者 |
光山 統泰 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 研究チーム長 (20415673)
富井 健太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 研究チーム長 (40357570)
FRITH Martin 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 主任研究員 (40462832)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | mRNA局在 / ミトコンドリア / mRNA配列解析 |
研究概要 |
H24年度にはmRNAがミトコンドリア周辺に局在する傾向の強さ(MLR値)と、その遺伝子産物である蛋白質の特徴との関連解析を行った。 1) 酵母の各蛋白質の特徴を収集し、 2) 各特徴量2組の相関係数を計算し、似通った特徴量から代表をひとつ選び、 3) 残った特徴量とMLRの同時確率分布を近似するベイズネットワークを構築した。 その内、もっとも作業量が多かったのは特徴量の収集であった。MLRに影響する特徴を見過ごすことの無いよう、様々な特徴量を解析した。例えば、蛋白質の大きさ、mRNA 3' UTR部分の長さ、mRNAの発現量、蛋白質の発現量、蛋白質の物理化学的性質(水溶性など)、ミトコンドリア内局在部位(外膜、膜間空間、内膜、内腔)、N-末端ソーティングシグナル(MTS)の有無、TOM40複合体との相互作用データ、構造ディスオーダ予測、(バクテリアホモログの有無で推理される)蛋白質の進化的由来などを集めて解析を行った。bnlearnなどのソフトウェアツールを利用し、ベイズネットワークの推定も行ったが、特徴間の相関関係は複雑であり、その関係性を解りやすく可視化するところまで進まなかった。しかし、途中結果としてMLRはmRNAに直接関係する特徴より、mRNA産物の蛋白質に働く特徴(立体構造を取るにの必要な時間(fold rate)やアミノ酸配列のミトコンドリア移行シグナルの有無など)、と強い相関傾向が見られた。これは産物を介するMLR機序を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りの解析ができている、興味深い結果も出ているが、予想外の大発見ができたとは言えない為おおむね順調に進んでいる。というのが妥当な評価だと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度はプロジェクト最終年度として、結果を纒めなければならない。残された課題として、H24年度に計算した、各特徴量とMLRの解析を改良する。H24年度には計画通りの解析はできたものの、特徴間の相関構造が複雑であり、H24年度の解析に使用したベイジアン・ネットワーク推定法では、推定されるネットワークが過度に密になり、因果関係の解釈が難しい。そこで、H25年度では 1)別なベイジアン・ネットワーク推定法を試す、2) 重回帰分析という、ベイジアン・ネットワークと異なる手法で解析を行う。この作業はH25年度の前半に終え、年度後半では1)その解析から、MLRの現象を最も矛盾なく説明できる仮説を纒め、2)文献調査を広げ、その仮説の検証若しくは問題点を考察し、3) 論文として発表する。
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