研究課題/領域番号 |
23300115
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 秀明 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00376534)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 脳研究 |
研究概要 |
(1) 神経ペプチド及びその受容体をコードする遺伝子のメダカ変異体の作出 平成23年度はTilling(Targeting Induced Local Lesions In Genomes)法によって、魚類の社会性行動の制御に関わると予想される神経ペプチド(バソトシン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ソマトスタチン等)とその受容体をコードする遺伝子に変異を持つメダカを8種類以上同定した。平成24年度はこれらの個体のバッククロスを行い、目的の遺伝子のみに変異を生じた系統を作出した。一方で、TALEN法を用いて、バソトシン、オキシトシンとその受容体をコードする遺伝子に変異を持つメダカを4種類以上同定した。 (2) IR-LEGO法によるメダカ脳における条件的遺伝子操作法の確立 平成24年度は連携研究者である亀井保博特任准教授と共同で、IR-LEGO法を用いたメダカ脳における条件的遺伝子操作の確立に成功した。またメダカ胚において、Cre依存の組換えをランダムかつ低頻度誘導すると、予定終脳領域において単一前駆細胞由来に発生した神経細胞群(細胞系譜単位)が、終脳の様々な脳領域に対応して現れることを発見した。このため、IR-LEGO法を用いてメダカ胚の予定終脳領域に弱いヒートショックを与えることによって、終脳において領域選択的に遺伝子組み換えを起こした個体を大量に得る事が可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、TILLING法によって、魚類の社会性行動の制御に関わると予想される神経ペプチド(バソトシン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ソマトスタチン等)とその受容体をコードする遺伝子に変異を持つ系統の作製に成功した。一方で昨年度はメダカにおいてTALEN法が確立されたことにより、飛躍的に変異体作出の効率が上がり、当初解析予定でなかった遺伝子群の変異個体を作製することに成功した。また当初の予定通り、赤外線レーザーを用いたメダカ脳の条件的遺伝子操作法の確立に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はTILLING法及びTALEN法で作製した変異体を用いて行動検定を行い、社会性行動実験に必要なペプチド系や遺伝子を同定する。一方で平成24年度に確立したIR-LEGO法を用いて非侵襲的に脳領域選択的に神経活動が抑制された個体を多数作出して、行動検定することにより、目的の行動に関わる脳領域をスクリーニングする。これにより、社会性行動に関わる脳領域を検索し、神経ペプチド系以外の神経回路の寄与についても検討する。
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