研究概要 |
メダカ集団の社会的学習及びメダカメスの配偶者選択を定量化する行動実験系を確立した結果、メダカは社会認知に基づく高度な社会行動を示すことを発見した。例えばメダカのメスは「そばにいたオス」を視覚的に記憶し、その求愛をすぐに受け入れるが、メスは「見知らぬオス」からの求愛を容易には受け入れない。このようにメスメダカは異性を視覚的に識別して記憶する能力を持っており、その能力に基づいて性的パートナーを選択する(Okuyama et al., Science, 343, 91-94, 2014)。さらにメスの配偶者選択に異常を示す変異体を同定・解析した結果、終神経GnRH3ニューロン及び当該ニューロンから分泌される脳内ホルモン(GnRH3)が、メスの配偶者選択における意思決定を規定することを発見した。これまでGnRHは、脳下垂体において生殖腺刺激ホルモンの分泌を促進し、生殖腺の機能を活性化するGnRH1としての働きのみが注目され精力的に研究されてきたが、本研究ではGnRH3が脳内ホルモンとして性的パートナーの選択に関わることを初めて証明した(Okuyama et al., Science, 343, 91-94, 2014)。さらにメダカは集団採餌の際に、餌場情報を記憶・学習した個体を、未学習の個体が記憶して追従することで採餌効率が上がる現象(社会的学習)を発見した(Ochiai et al., PLoS One, 8 e71685, 2013)。
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