大脳皮質視覚野において神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)はGABA作動性抑制性細胞の一部の細胞群にのみ発現している。この細胞が放出する一酸化窒素(NO)によるシナプス可塑性と視覚反応の経験依存的発達の制御を解析した。その結果、NOは2/3層錐体細胞の興奮性シナプスに見られるT型Caチャネル依存性長期増強の誘発を抑制し、抑制性シナプスの長期増強を促進することが分かった。両作用ともguanylyl cyclaseの活性化とそれに伴うcGMPの上昇を介していた。視覚反応の解析によりNOがシナプス可塑性の制御を通して視覚反応の経験依存的発達に影響を及ぼすことを示唆する結果を得た。
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