研究課題
我々はnardilysin (NRDc)が膜タンパク質細胞外ドメインシェディングの活性化因子であることを明らかにしてきた。NRDc欠損マウス、神経細胞特異的過剰発現マウスの解析から、NRDcが中枢・末梢神経の軸索成熟と髄鞘形成を制御していることを明らかにし、その分子機構としてNRDcがβセクレターゼBACE1によるニューレギュリン1シェディングを制御することを示した。一方NRDc欠損マウスは、明らかな低血圧・徐脈を呈した。以上からNRDcが、髄鞘形成の関わる病態や交感神経調節系において重要な役割を果たすことが示唆された。本申請においては、1)NRDcによるBACE1活性制御の分子機構解明、2)多発性硬化症、神経再生におけるNRDcの意義、3)交感神経支配を介する循環動態調節におけるNRDcの意義の解明、を目的とする。目的1)NRDcが in vivoでBACE1活性(βセクレターゼ活性)に及ぼす影響を検討するため、アルツハイマー病モデルマウスと前脳特異的NRDc強発現マウス(NRDc-Tg)を交配し、アミロイド班形成を検討した。NRDc強発現により、アミロイド班は有意に減少したが、この効果はNRDcのαセクレターゼ活性増強によるもので、βセクレターゼ活性に明らかな変化は認めなかった。本結果はNeurobiology of Aging誌に発表した。目的2) Cuprizone投与による脱髄の程度を、野生型およびNRDc-Tgで比較したところ、意外なことにNRDc-Tgにおいてより強い脱髄を認めた。一方Cuprizone投与中止後の再髄鞘化はNRDc-Tgで増強していた(論文準備中)。目的3) NRDc欠損マウスにおいて、心臓交感神経分布パターンに明らかな変化を認め、さらに内因性心拍数が低下していること、交感神経活動が亢進していることも明らかになった(論文準備中)。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nat. Commun
巻: 5 ページ: 3224
10.1038/ncomms4224
Neurobiol Aging
巻: 35 ページ: 213-22
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