研究課題/領域番号 |
23300125
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
井出 千束 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (70010080)
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研究分担者 |
中野 法彦 藍野大学, 医療保健学部, 准教授 (40322721)
山田 義博 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (30252464)
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キーワード | 神経再生 / 移植・再生医療 / 脊髄再生 / 再生医学 / 栄養因子 / リハビリテーション |
研究概要 |
1 細胞移植 亜急性(損傷後1-2週)と慢性期(損傷後4週)の脊髄損傷ラットに対して、自家骨髄間質細胞を第4脳室経由で移植した。細胞移植後4週まで観察した。亜急性期および慢性期の何れの場合も効果はあることを確認した。移植群では、歩行運動はBBBスコアで10-12ポイントまで回復したが、対照群では0-6の範囲に留まった。再生軸索の伸長が明らかで、損傷部を頭尾方向に伸びて橋渡ししていた。これらの軸索はシュワン細胞に囲まれており、その周囲は、コラーゲン線維を含む結合組織マトリックスであった。この領域にはアストロサイトは入っていなかった。 2 骨髄間質細胞の分泌する有効性分の同定 骨髄間質細胞の培養上清を、ゲル〓過にかけて、さらに種々のカラムを使って分離した。得られた分画を、生後1日ラット脳から分離した培養海馬ニューロンに加えて、海馬ニューロンの生存と突起伸長作用をアッセイしている。これまでの実験で、有効分画はかなり限局されつつある。特定な因子の同定に向けて実験中である。 3 リハビリテーションの効果 リハビリテーションの効果は、上と同じように脊髄を損傷させたラットに、トレッドミルによる歩行訓練を行わせる方法で調べている。これまで、3回のシリーズの実験を行った。1回の実験でラットを約20匹使用した。トレッドミル訓練によって、対照群との間に、回復の程度およびその早さに差を見いだしている。ただ、脊髄損傷したラットが飼育中に死にやすいことから、統計に必要なラットの匹数を得るのに時間がかかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 亜急性および慢性期の脊髄損傷に対する骨髄間質細胞の移植効果が確かめられ、論文として投稿中である。 2 骨髄間質細胞培養上清の有効成分の分離は、精力的に行っているが、カラムへの吸着性が低く、手間取っている。 3 脊髄損傷ラットに対するリハビリテーションの効果の検定はかなり進んだが、ラットが死にやすく、まだ十分なラットの匹数が得られていない。また、BBB以外に有効な歩行の判定方法を模索している。
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今後の研究の推進方策 |
1 骨髄間質細胞の培養上清内に含まれる有効成分の同定は、かなり難しい行程を経なければならないと感じられる。さらにいろいろなカラムを使って分離を試みる。 2 ラットの生存を高めるために、抗生物質を手術後3日間、1日3回投与する。損傷の方法や程度を調節して、歩行の回復程度が少なく、しかも生存しやすい脊髄損傷の方法を考える。
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