研究課題
アルツハイマー病の病理に中心的な役割を果たすとされるβアミロイドは、その前駆体蛋白質である APPからβ・γの2段階切断により産生される。神経細胞においては、 APPが軸索内を順行性に輸送された後にシナプス前終末でエンドサイトーシスされ、エンドソーム内のミクロドメインにおいてβ切断が起こると考えられている。我々は、軸索輸送後に APPがミクロドメインを乗り換えること(ミクロドメインスイッチング)により、エンドソームにおけるβ切断が引き起こされる可能性を示してきた。また、その過程でAPP局在ミクロドメイン中にエンドソーム輸送を制御する蛋白質を見出し、APPとの相互作用及びAPPの細胞内輸送・切断の制御への関与を明らかとした。本研究は、この新規APP切断調節蛋白質について解析し、アルツハイマー病の最初期変化とされるエンドサイトーシス障害とアミロイド産生亢進の機序を明らかにすることを目的としている。本年度は、これまでに明らかにしたAPP切断調節蛋白質の培養細胞、モデル動物における病態と関連した局在変化、相互作用によるAPP輸送・切断の変化、エンドソームの異常についての結果をもとにさらに解析を進めた。変異体発現、RNA干渉を用いた解析等から、APP切断調節蛋白質とAPPのエンドソームにおける結合増加によりアルツハイマー病最初期変化に類似したエンドソームの輸送障害が引き起こされることが明らかとなった。さらにこのAPP特異的な障害の基盤となる相互作用部位を明らかとした。今後は、APPとの相互作用を制御した場合の変化を培養神経細胞、モデル動物において解析し、病態との関連および創薬標的としての可能性を明らかにしていく予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Hum Mol Genet
巻: 24 ページ: 1092-1105
10.1093/hmg/ddu522
http://pharmacology.sakura.ne.jp/jp/research/microdomain_res/microdomain_res.html