研究課題/領域番号 |
23300135
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
松岡 一郎 松山大学, 薬学部, 教授 (40157269)
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研究分担者 |
小林 三和子 松山大学, 薬学部, 助教 (30396329)
幸田 敏明 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (20170186)
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キーワード | 精神神経疾患 / 細胞周期 / BRINPファミリー / 神経新生 / ガン抑制因子 / 遺伝子欠損マウス |
研究概要 |
これまでに申請者は,BRINP1ノックアウト・マウスでは,海馬歯状回における神経新生が亢進して未成熟な神経細胞が増加し,神経活動による細胞の変性が増加すると共に,ヒトの精神疾患に酷似した行動異常を示すことを明らかにした。本研究では,BRINPs-KOマウスの解析(項目A)、細胞レベルの解析(項目B)、タンパク質機能の解析(項目C)を通じて、BRINPの精神疾患発症との関わりを明らかにすることを目的としている。本年度は、主に項目CについてBRINPタンパク質に対する抗体の作成とこれを用いた解析を行い、以下の結果を得た。 小麦胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて、全長のmBRINP1(88.6kDa)、rBRINP2(89.1kDa)、rBRINP3(88.4kDa)タンパク質(Hisタグ付き)を合成し、界面活性剤存在下で精製した。総量にして1.0-1.8μg(用いたプラスミド1μgあたり4.9-7.3μg)の合成各BRINPタンパク質が得られた。これを抗原としてウサギに免役した結果、抗原を用いたELISAにより抗体価の上昇が確認できたので、10週間後に全採血を行い、抗血清を得た。これを用いて、ウエスタンブロット解析を行った。その結果、各抗BRINP抗体は、全長BRINPタンパク質の分子種を認識していることが明らかになった。また、抗BRINP2抗体が最も高い特異性を示した。3T3細胞に発現させたBRINP2を免疫蛍光染色によって観察したところ、小胞体における局在が検出された。また初代培養下のマウス海馬神経細胞を同様に観察したところ、抗BRINP抗体によりBRINPsが神経細胞に特異的に発現することが確認できた。また神経繊維上にシナプス小胞等の小胞体に対応したドット状の局在が観察された。海馬におけるBRINPsの発現は、BRINP1が大部分を占めることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
項目Aについては、BRINP3ノックアウトマウスの作成が順調に進行している。項目Cについては、抗BRINP1抗体が得られて解析を開始した(上記の成果)。ただし、項目Bについては、BRINP1ノックアウトマウスの繁殖が遅いため解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
項目Aについては、BRINP2ノックアウトマウスの作成を急き、当該年度内に解析を開始できるようにする。項目Bについては、動物の飼育方法を改善し、より多くのマウスを解析に用いるように努力する。項目Cについては、各BRINP-KOマウスから調製した海馬サンプル用いて2次元電気泳動-質量分析によるプロテオミクス解析を重点的に行い、タンパク質の変動を明らかにする。
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