研究課題
有芯小胞の輸送や開口放出の調節に関与すると考えられている分泌関連タンパク質CAPS1について、遺伝子改変マウスを作製して生体における役割を解析した。CAPS1はインスリンなどのペプチドホルモンやノルエピネフリンなどの生体アミンを内包した有芯小胞の分泌に関与する。これまでCAPS1タンパク質が減少したマウスは糖尿病様の症状を示すことが報告されてきたが、全身でCAPS1遺伝子が完全に欠損したマウスは生後すぐに致死となることから成体での解析ができず、実際にCAPS1欠損マウスの個体レベルでの病態については不明であった。我々は、大脳や海馬などの前脳領域に特異的、および小脳領域に特異的な2種類のCAPS1遺伝子条件的欠損マウスの開発に成功した。この2種類のモデルマウスを解析した結果、CAPS1を欠損した脳領域では細胞内のトランスゴルジ網の形態異常、シナプスの発達や生理での異常などを呈することが明らかになった。また、脳由来神経栄養因子(BDNF) の輸送や分泌に障害が検出された。BDNFはうつ病との関連が考えられており、また糖尿病患者はうつ病を併発しやすいことが知られている。これらの知見と、今回明らかになった特定の脳領域におけるCAPS1遺伝子欠損マウスの病態から、CAPS1が糖尿病とうつ病が併発するメカニズムに関連する可能性が示唆される。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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