研究課題/領域番号 |
23300139
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 真樹 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90301887)
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キーワード | 時間情報 / 大脳小脳連関 / 大脳基底核ループ / 眼球運動 / 霊長類 / 単一ニューロン記録 / ドパミン / オドボール課題 |
研究概要 |
時間の情報は我々の認知・行動に不可欠である。最近の症例検討や脳機能画像研究から、その処理には大脳、小脳、基底核がそれぞれ異なった関与をしていることが示唆されている。例えば、数秒以上の時間分別や時間再現には大脳と基底核が関与し、数百ミリ秒以下の運動タイミングの制御や離散的なリズムの学習には小脳が重要であると考えられている。しかし、それらの神経メカニズムに関してはほとんど未知であるといってよい。そもそも、脳内で時間がどのような神経活動によって表現されているのかということについてさえ定説がない。本研究では、大脳-基底核ループや大脳-小脳連関によって重層的に処理されると考えられている時間情報を具体的な行動や神経活動としてとらえるとともに、これらのパラメータ調節に基底核や小脳で知られている特徴的な局所回路がどう関与しているのか、線条体や小脳皮質・核などへの薬物投与による行動および大脳集合電位への影響を調べることで明らかにする。 初年度である平成23年度には、眼球運動測定装置などの大型備品を購入し、研究環境の整備を進めた。また、これまで小脳核で行ってきた「欠落オドボール」課題を用いた研究を視床、小脳皮質で着手するとともに、これまで視床や大脳皮質で行ってきた「自発サッカード」課題を用いた実験を小脳核、基底核で開始し、いずれにも運動準備活動が認められている。線条体にドパミンのリガンドを微量注入し、サルが眼球運動で再現する時間に変化がみられるかどうか調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、小脳皮質、視床、線条体の研究は開始することができた。大脳ECoGを用いた研究はまだ準備ができていないが、心理実験については実験課題の策定をすでに行っている。また、H23年度には実験室の整備を行い、訓練に使えるブースを増やすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度から研究補助員を雇用し、今後、本課題を進めていく体制が整いつつある。線条体、視床の実験では、少しずつデータが集まりつつあり、このまま実験を継続する。小脳皮質の実験では、実験に着手はしたものの、まだ意味のあるデータが得られない状況で、夏ごろまでに現在の記録部位であるCrus領域を継続すべきかどうか、決断する必要があると考えている。心理実験に関しては、小脳患者からデータを取得する体制を固めつつあり、H24年度から、健常人および患者からのデータを収集する予定。ECoGについてはまったく手がつけられておらず、H24年度中に手術などの見学に行くことを検討している。
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