皮質由来軸索のみが脊髄において蛍光標識されている遺伝子改変(CST-YFP)マウスと前年度までに我々が開発した画像処理技法を用いて、脊髄(C7)灰白質における皮質脊髄軸索分布の発達を継時的かつ定量的に解析し、運動ニューロン等が存在する脊髄腹外側の軸索終末がP14でピークとなりその後減少することを示した。これでIn vitroスライス培養系で示した脊髄腹側からの皮質脊髄軸索/シナプス除去のin vivoにおける対応現象がその時期とともに明確になった。 これと関連して、昨年までに齧歯類においても発達早期においては皮質脊髄路軸索が前肢遠位筋支配運動ニューロンに対して直接シナプス接続をしていることを電気刺激ならびに光遺伝学的手法を用いて示したが、25年度は更に変異狂犬病ウィルスを用いて前肢遠位筋から運動ニューロンを介して越シナプス性に直接接続している皮質細胞を標識することに成功し、上記結果を確認するとともにその空間分布を明らかにすることに成功した。 皮質脊髄スライス培養系においてNMDA受容体のNR2B/2Aシフトが皮質シナプス除去の可塑性における臨界期終了を決定していること、抑制の発達がそれを修飾していることをデータを更に蓄積して論文にまとめた(投稿中)。 我々が皮質脊髄スライス培養系において発見したシナプトフィジンクラスター(シナプス小胞塊と考えられる)の逆行性、超低速、長距離運動について結果をまとめ、シナプス形成における意義につき考察して論文化した(投稿中)。
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