研究課題
我々は人生の1/3もの時間を睡眠に費やすにもかかわらず、睡眠覚醒がどのように調節されているのか未だによく分かっていない。また、アルコールやたばこなどの嗜好品や薬物などに精神依存が形成されるメカニズムも未だに十分解明されていない。これら一見全く独立した二つの生理現象が視床下部に存在するオレキシンを産生する神経(オレキシン神経)によって調節されていることが明らかになりつつある。本研究では、神経活動の光制御を可能にする分子をオレキシン神経特異的に発現させ、その神経活動を人為的に操作することによって、個体レベルにおいて睡眠覚醒調節および、依存形成のメカニズムを明らかにすることを目的としている。平成24年度にはオレキシン神経特異的発現と光刺激条件設定を行った。 オレキシン神経特異的に光活性化タンパク質を発現していることを、免疫組織化学的、電気生理学的に明らかにした。Orexin/tTA;Tet-O Archマウスでは、約80%のオレキシン神経特異的にArchの発現誘導が認められた。遺伝子改変マウスにおいてArchの機能を確認するために、脳スライス標本を作製し、オレキシン神経細胞からスライスパッチクランプ記録を行った。対物レンズから緑色光を神経細胞に照射すると活動電位の発生を完全に抑制できることが確認できた。光刺激のための光強度、光照射のタイミングなど条件設定を行った。平成22年度に作成したすべてのマウスにおいて同様の確認を行い、今後の実験に用いる遺伝子改変マウスのラインの確立を行った。
2: おおむね順調に進展している
実験に用いる遺伝子改変マウスの作成は順調に進んで居る。これまでに組織化学的解析と電気生理学的解析を行った。神経活動の光操作のための光活性化分子が正しく標的とする神経細胞に発現していることを組織化学的に確認し、また電気生理学的解析によって正しく機能することを確認している。また、今後のインビボにおける光刺激の条件決定を終えている。
今後は、レバー押し装置と光刺激装置とを組み合わせた独自の実験装置において、依存や報酬行動におけるオレキシン神経細胞の役割について明らかにする実験を行う。
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