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2011 年度 実績報告書

筋再生と筋肥大・心肥大を担う筋原線維形成のシグナル伝達機構と分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23300144
研究機関千葉大学

研究代表者

遠藤 剛  千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30194038)

キーワードシグナル伝達 / IGF-1シグナリング / 筋原線維 / アクチン / N-WASP / サルコメア蛋白質 / 筋形成
研究概要

骨格筋および心筋の収縮を担う筋原線維形成のシグナル機構と分子機構を解明し,さらにこれらの機構と筋再生や筋肥大・心肥大との関連を明らかにすることを目的とする.骨格筋においてはnebulin(Neb)-N-WASP複合体によってアクチン重合核が形成され,さらにNebに沿ってアクチン線維が伸長して長さ1μmのアクチン線維が形成された.このアクチン線維の先端にleiomodin(Lmod)が局在していたので,Lmodがアクチン線維をさらに0.1-0.3μm伸長させていると考えられる.LmodはIGF-1-PI3K-Aktシグナリングにより阻害されるGSK-3でリン酸化されたので,IGF-1シグナリングはGSK-3によるLmodのリン酸化を解除して,アクチン線維の伸長に働いていると考えられる.しかしIGF-1によりLmodの量は変化しなかったので,IGF-1シグナリングはLmodの発現や分解の制御ではなく,機能の制御に働いていると考えられる.一方,心筋においては,nebulette(Nebt)のSH3ドメインにN-WASPのPro-rich領域が結合して,N-WASPはZ帯に局在化した.しかしこの局在化は,骨格筋のようにIGF-1シグナリングによるものではなく,AngIIシグナリングによって制御されていた.またNebt-N-WASP複合体によりアクチン重合核が形成され,アクチン線維形成が促進された.LmodもNebt(長さ0.15μm)のN末端側に結合し,IGF-1刺激のないマウスでは,LmodはZ帯付近に局在した.しかしIGF-1を投与したマウスでは,Lmodは1μmのアクチン線維の先端付近に局在化した.したがって,Nebtに沿って伸長した長さ0.15μmのアクチン線維の先端にLmodが結合し,IGF-1シグナリングによりアクチン線維をさらに0.85μm伸長させて,その結果,1μmのアクチン線維が形成されると考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨格筋と心筋の筋原線維のアクチン線維形成のシグナル伝達機構と分子機構について,いずれもほぼ計画どおりに研究が進行している.特に,心筋ではIGF-1シグナリングだけでなくAngllシグナリングの関与を見出すことができた.

今後の研究の推進方策

骨格筋の筋原線維形成には,IGF-1シグナリングに加えて神経支配が重要であると考えられるので,今後は骨格筋培養細胞とマウス骨格筋組織において神経支配の影響についても調べる.心筋筋原線維のアクチン線維形成においては,IGF-1シグナリングだけでなくAngllシグナリングも関与していることを見出したので,今後はAngllシグナリングによるアクチン線維形成の経路についても解明する.またAngllシグナリングとIGF-1シグナリングのクロストークの可能性についても調べる.心筋への遺伝子導入を,当初はレンチウイルスベクターを用いて行う予定であったが,アデノウイルスベクターで効率よく行えることが明らかになったので,今後はアデノウイルスベクターを用いて進める.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 学会発表 (6件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 骨格筋と心筋における筋原線維アクチンの重合核形成と伸長の分子機構2011

    • 著者名/発表者名
      高野和儀
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      2011-09-23
  • [学会発表] Ras-ERKカスケードのアンタゴニストDA-Rafは肺胞形成に不可欠である2011

    • 著者名/発表者名
      渡邊-高野晴子
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      2011-09-23
  • [学会発表] 筋収縮と筋再生・筋肥大を担う筋原線維のアクチン線維形成機構2011

    • 著者名/発表者名
      遠藤剛
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-21
  • [学会発表] Nebulette and N-WASP participate in cardiac myofibrillar actin filament formation2011

    • 著者名/発表者名
      Takano, K
    • 学会等名
      第63回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2011-06-29
  • [学会発表] RhoD activated by FGF signaling induces mDia3-mediated cytoneme formation2011

    • 著者名/発表者名
      Koizumi, K
    • 学会等名
      第63回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2011-06-29
  • [学会発表] The Ras-ERK cascade antagonist DA-Raf is essential for alveolarization2011

    • 著者名/発表者名
      Watanabe-Takano, H
    • 学会等名
      第63回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2011-06-28
  • [図書] 実験医学 増刊「シグナル伝達研究最前線2012」2012

    • 著者名/発表者名
      遠藤剛
    • 総ページ数
      148-156
    • 出版者
      羊土社
  • [図書] 実験医学 月刊 5月号2011

    • 著者名/発表者名
      高野和儀
    • 総ページ数
      1273-1276
    • 出版者
      羊土社
  • [備考]

    • URL

      http://life.s.chiba-u.jp/endo/hp/index.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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