研究課題
言語の普遍的本質の一つと考えられる分節化能力を単純化して調べる視覚人工言語のパラダイムを開発するため、物の意味カテゴリーを表す複合記号が、それ自体は無意味な二つの要素図形の組み合わせとして表されるような記号体系を作った。これを用いて、動物実験(行動実験、および電気生理実験の準備)とヒトを対象とした機能的磁気共鳴画像法fMRIによる統合的研究を開始した。具体的には、まず2頭のニホンザルを対象としてこの記号体系の行動訓練を行い、各カテゴリーを代表する物体と複合記号との連想を教えた(初学習)ところ、サルは物体を見ただけで連想すべき複合記号の2つの構成要素図形を選ぶ課題(再学習)が1試行目からチャンスレベル以上の正答率でできた。また、初学習と再学習で、成績が一定の基準に達するまでの試行数が有意に節約されることがわかった。次に、2頭のニホンザルで刺激等価性成立を検証するための視覚対連合学習の訓練を開始した。東京大学工学部と共同開発した20μm厚の柔軟メッシュ状ECoG電極(Toda et al Neuroimage 2011;特許願2009-1-78454号)をサル用に改変し、次年度に行うECoG計測に必要な、側頭葉広域と前頭前野を覆うための極間2.5mmの192点ECoG電極を設計、製作した。この電極を1頭のサルで前頭葉と側頭葉に留置する手術を行った。ヒトを対象としても、サルと相同の記号を用いた記号分節化能力を調べるための人工言語を開発し、行動訓練の後、パイロット実験として記号分節化に関する脳部位を調べるためfMRI信号計測を開始した。データは西新潟中央病院の1.5テスラMRI機を用いてエコプラナー法で取得し、記号の分節化に特異的に賦活する前頭葉と側頭葉の部位に関して予備的知見を得た。
2: おおむね順調に進展している
サルで記号の分節化と対称性認知に関する行動実験を開始して予備的なデータを取得し始め、またヒトfMRI実験も順調に進めていることから。
前年度に引き続き、行動実験を進めて結果をまとめる。皮質脳波法による電気生理実験を開始する。引き続きヒトfMRIの実験も進める。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (9件)
Displays
巻: 33 ページ: 91-97
Acta Medica et Biologica
巻: 58(2)
Neuroimage
巻: 54 ページ: 203-212
自律神経
巻: 48 ページ: 208-210
Neuroscience
巻: 193 ページ: 249-258
Frontiers in Systems Neuroscience
巻: 5 ページ: 34
doi:10.3389/fnsys.2011.00034
生体医工学
巻: 49(未定)(in press)