研究課題/領域番号 |
23300151
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
神作 憲司 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所・脳機能系障害研究部, 室長 (60399318)
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研究分担者 |
和田 真 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所・脳機能系障害研究部, 研究員 (20407331)
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キーワード | 神経科学 / 対人関係 / 自己 / 身体性 / 社会性 |
研究概要 |
本研究では、脳で自己と外界の関係がどのように表現されているかを明らかとし、さらに対人関係の基礎となる脳内機構を明らかとすること目的とする。特にこの際、後部頭頂皮質等の多感覚野が、周辺時空間に対する物理的な観点からの自己の位置付けから、社会的な観点からの他者と自己の関係付けまでに関与しており、その機能不全が自閉症者の「逆さバイバイ」やひいては社会性の発達の阻害を引き起こすと仮定し、健常者および障害者を対象とする心理物理・神経画像研究、さらには動物モデルの開発を統合的に行う。本年度は、本研究グループが発見した、腕交差などによって外界と自己の体の空間上の位置関係を入れ替えると左部後頭頂皮質に活動が生じる現象を手掛かりとして検討を重ねた。まず、腕配置と開閉眼の影響を調査し、左腕が上の交差かつ閉眼時に左後部頭頂皮質の活動がより大きくなることを明らかとした。また、腕交差と非交差の条件にて触覚時間順序判断を行わせ、開眼と閉眼の影響を検討したところ、腕交差時に生じる時間順序判断の逆転は、開眼時に比べ閉眼時の方がより大きくなることを見出した。さらに、自閉症者を対象としたデータ収集を開始した。左後部頭頂皮質の活動は腕配置依存的に変化するだけでなく、その活動は感覚刺激の時空間情報処理に関与している可能性が示唆されたため、今後は、両者の関係を明らかにしていく。また動物実験では、自己と外界の関係をどのように処理しているかについて評価するために、情報収集および実験系の立ち上げを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
健常者および障害者を対象とする心理物理・神経画像研究、さらには動物モデルの開発を統合的に行うとのそれぞれにおいて順調に研究が立ち上がり、さらに左後部頭頂皮質の活動が感覚刺激の時空間情報処理に関与している可能性も示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を行うことで得られた新たな所見をもととして、自閉症者を対象としたデータ収集・解析も本格化し、さらに研究を展開させていく。
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