研究課題
本研究課題では、脳で自己と外界の関係がどのように表現されているかを明らかにし、さらに対人関係の基礎となる脳内機構を明らかとすることを目的として研究を進めた。またこの際、健常者および障害者を対象とする心理物理・神経画像研究、さらには動物モデルの開発を統合的に行った。まず、心理物理研究において、自閉症児での腕交差時に生じる時間順序判断の逆転は定型発達児に比べて少ないこと、さらに幼児期に自閉症と診断された青年では、腕交差時の時間順序判断の逆転率と自閉症的な性格特性(AQスコア)が有意に逆相関することを見出し、これらの結果を論文発表した。神経画像研究では、fMRIデータにて領域間機能結合を評価することで、腕交差によって左後部頭頂皮質と右前頭前皮質との機能的結合が変化することを見出し、その結果を論文投稿した。また、脳領域間ネットワークの同期的神経活動を含むことが期待される周波数帯のオシレーションを利用した脳磁図(MEG)によるニューロフィードバックに成功した。動物実験では、昨年度までに開発したマウスの身体像錯覚に関する行動実験系を用いることで、マウスにも自己身体表象が存在する可能性を示唆する結果が得られた。具体的には、マウスの尾と、目の前に提示したラバーテイルを同期させながら筆で撫でた後に、ラバーテイルを把持したところ、あたかもマウス自身の尾をつかまれた時のような応答が生じること等を見出した。その神経基盤を明らかにするため、組織化学実験を実施してデータを蓄積した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Scientific Reports
巻: 4:5985 ページ: 1-9
10.1038/srep05985
Frontiers in Neurology
巻: 5:74 ページ: 1-7
10.3389/fneur.2014.00074