研究課題
今年度は5頭のアカゲザルにSHIV KS661株を接種し、マクロファージが主要感染細胞となる感染後期に多剤併用療法を適用し、前年度までに観察された血中ウイルス量の3相性減衰の再現を目指した。3頭の動物ではウイルス感染により血中のリンパ球が枯渇しなかったため、継時的に生検したリンパ節を組織化学的検索したところ、主要感染細胞はリンパ球であり、マクロファージに移行しなかった。残り2頭は血中リンパ球が急性感染期に枯渇し、マクロファージが主要感染細胞となった。うち1頭は急速に病態が進行し、投薬中にエイズ様症状(食欲廃絶と下痢)を起こし安楽殺した。残る1頭で3相性減衰が再現された。非治療個体および治療開始前(治療介入なし)、治療開始直後及び治療終了時の各動物の組織を組織化学的に解析したところ、治療介入のない状態ではMAC387抗原陽性M1タイプマクロファージおよびCD163抗原陽性M2タイプマクロファージの両方がウイルス感染したが、治療により血中ウイルス量が1000コピー/mlまで減少した第3相ではM2タイプマクロファージのみでウイルスが維持されていた。さらに、治療介入のない感染では細胞周期が静止している細胞に加え、回転しているマクロファージでもウイルス感染が検出されたが、治療後に観察された第三相減衰では細胞周期が静止したマクロファージのみがウイルス感染していた。現在、これらの細胞の特徴に関してさらに組織化学的解析を進めている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Virol.
巻: 87 ページ: 4789-4793
10.1128/JVI.03367-12.