研究課題/領域番号 |
23300160
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
吉川 欣亮 財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, プロジェクトリーダー (20280787)
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研究分担者 |
野口 佳裕 東京医科歯科大学, 医学部付属病院, 講師 (50282752)
設楽 浩志 財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術研究センター, 基盤技術研究職員 (90321885)
和田 健太 東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (20508113)
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キーワード | 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / 加齢性難聴 / モデルマウス / QTL / 近交系マウス / Cadherin23 |
研究概要 |
ヒト加齢性難聴感受性・抵抗性遺伝子座の同定のため、モデルマウスを用いて遺伝学的解析を行った結果、以下に示す知見が得られた。 1.マウス加齢性難聴発症の感受性遺伝子座の同定 NOD/shi(NOD)およびDBA/2J(D2)マウスの加齢性難聴感受性遺伝子座が存在する第5番染色体をC57BL/6J系統に導入したコンソミック系統の作製を試み、NOD導入系統においては第4世代、D2導入系統においては第4世代まで戻し交配が進行している。遺伝子タイピングの結果、両系統ともに数種の染色体領域においてNODおよびD2のゲノム領域が残存していたが、ほぼその遺伝的背景はB6に置換されていた。 加えて、B6の加齢性難聴感受性遺伝子であるahl3領域を加齢性難聴抵抗性系統MSMと交配したB6-ahl3コンジェニックマウスの経時的な聴力測定を行った。その結果、コンジェニックマウスは12ヶ月齢までMSM系統と類似した聴力閾値を示し、ahl3領域は約6.2Mbの領域に存在することが明らかとなった。 2.マウス加齢性難聴発症の抵抗性遺伝子座の同定 MSM系統、B6.MSMコンソミック系統、およびB6またはC3H系統とのF_2個体、またリファレンス系統としてB6およびC3H系統を離乳後、経時的な聴力測定を行い、長期飼育中である。現在までに第12番染色体に新たな加齢性難聴に関わる遺伝子座を同定し、MSMアレルが加齢性難聴に対して抵抗性に機能することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主に加齢性難聴に関わる遺伝子座に関する領域を導入したコンソミックおよびコンジェニックマウスの作製を行った。目的としていた発現解析についてはやや遅れたものの、現在データ解析中であり、ほぼ目的は達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
ahl3コンジェニックマウスのマイクロアレイ解析の結果と、遺伝子位置情報のデータが一致しておらず、現在、ahl33領域のすべての遺伝子について定量的RT-PCRにより発現解析を行っている。また、本年度は次世代シークエンサーを用いたRNA-seq解析による網羅的な発現解析を実施する。
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