研究課題
本研究では、小児生体肝移植手術の際得られる摘出肝組織より分離した肝細胞を用いて、重症肝障害免疫不全マウス(uPA-NOGマウスあるいはTK-NOGマウス)肝内へ移植し、ヒト肝細胞を有するマウス(ヒト肝型マウス)の作成を行った。本年度は、ドナー9検体、胆道閉鎖症14検体等、合計33検体より肝組織の保存・肝細胞単離を行った。本研究において、凍結正常肝細胞を用いたマウスへの移植では、4割のロット(ドナー)において肝内への生着が認められ、移植細胞によってその生着性は大きく異なると考えられた。また手術摘出肝より単離した同一肝細胞を①単離直後、②4℃にて一晩保存、③凍結保存、の後にマウスへ移植し、生着性を検討した結果、すべての条件においてマウス肝内での移植細胞の生着が確認された。しかし、移植を実施したマウスに対する移植細胞の生着が確認されたマウスの割合は、①単離直後に移植したマウスにおいて最も高く、また移植マウスにおける血中ヒトアルブミン値も①単離直後移植したマウスにおいて最も高かった。一方、単離時の細胞生存率と移植後のマウス血中ヒトアルブミン値に相関は見られなかった。これらの結果から、同一ドナーより得られた肝細胞においては、単離直後の移植が最も成績がよく、効率的なヒト肝型マウスの作製において、移植細胞の保存方法が重要であると考えられた。また、単離時細胞生存率はマウス肝内への接着性には影響せず、その他の因子により生着性が規定されていると考えられた。近年海外では先天性代謝疾患や劇症肝炎、胆道閉鎖症などの重症肝・胆道疾患に対して、肝移植治療の代替療法または橋渡し療法として肝細胞移植療法の臨床報告が多数なされているが、肝細胞移植療法においてもその成績に移植細胞の保存方法が重要であると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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