研究課題
近年,我々はヒト直立姿勢を動的に安定化しつつ同時に運動の柔軟性も確保することができる神経制御メカニズムの新しい仮説「静止立位姿勢の間欠制御仮説」を提案している.本研究は,「典型的な神経疾患であるパーキンソン病患者が呈する姿勢反射障害およびすくみ足(歩行開始の躊躇症状)は,脳が間欠制御を適切に行えなくなったことにより発生する」との仮説を立て,その妥当性を検証することを目的とした.以下に平成25年度の実績をまとめる.ヒト静止立位姿勢制御に関しては,24年度に引き続き,関節の受動的粘弾性が低くかつ能動的神経フィードバック制御のゲインも小さいという生理学的に妥当な条件の下で,静止立位姿勢を柔軟に安定化する間欠制御仮説の検証を行った.特に,(1)姿勢動揺の生成が心拍に同調した血行動態によって足関節に生じる微小な擾乱トルクによって説明可能であること,および(2)ヒト静止立位姿勢を模擬した仮想バランス学習課題において多くの被験者が間欠制御戦略を獲得する一方で,一部の被験者は足関節の剛性を高めることでパーキンソン病患者様の姿勢動揺を伴う姿勢安定化戦略を採用することを明らかにした.ヒト二足歩行運動に関しては新たに2つの成果を得た.(1)関節のスティフネスを小さく抑えた状況でも,静止立位の間欠制御を動的に拡張した制御戦略によって,コンプライアントで安定な歩行運動が実現できる可能性を示唆する理論的枠組みの基盤が構築した.また,(2)研究協力者である国立病院機構刀根山病院・佐古田院長とともに,すくみ足症状の無いパーキンソン病患者およびすくみ足症状はあるがパーキンソン病ではない患者の歩行運動計測データの解析と計測された運動を再現する単純な数理モデル化とその数値シミュレーションを実施し,すくみ足症状の発生メカニズムの新しい仮説を提案することができた.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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