研究課題
好き嫌いなどの情動や各種の認知的緊張(ストレス)と脳のリズム的活動の関係を調べるため,昨年度の視覚反応に続き聴覚と体性感覚のリズム的刺激による定常応答の変化を調べた.快/不快の情動を誘因する刺激として,異なる情動価をもつ画像(覚醒価を統制)を呈示してMEG反応を計測し,その後に画像を再認させて被験者ごとの判断による快/不快の弁別結果と対照した.聴覚定常応答は,聴覚刺激を2 sの画像呈示時間に同期させたチャープ音(繰り返し周波数20 Hz,片耳刺激)として計測した結果,側頭聴覚野の活動が不快画像において快画像より有意に大きい(p<0.05, n=10)ことを見出した.体性感覚刺激では,ピエゾ素子による10 Hz振動を指先に与える2 sの触覚刺激とし,刺激と反対側の1次感覚野SIの反応と同側の2次感覚野SIIの反応の両者を評価した結果,SIIの反応において10名中8名の被験者で不快画像が快画像より振幅が大きいことが認められた.昨年度の視覚反応を加えた一連の実験結果は,情動を与える感覚様式を超えて,視覚,聴覚,体性感覚の固有脳リズムに関連する定常応答が不快>快となる神経活動を示すこと,被験者の心理状態(ストレス)に依存することを示唆している.さらに,神経活動の変化は不快画像に対する注意効果(聴覚・体性感覚反応では減衰することが期待される)ではなく,情動ストレスにより,持続反応に生じる順応効果が抑制されることが考えられる.また,情動とは異なる認知ストレスの効果を調べるため,作業記憶の負荷が大きいN-back課題を遂行中にfMRIにより脳の賦活状態を計測した.その結果,課題負荷の増大によりSIの反応が抑制される現象が観察された.このことから,情動ストレスと認知ストレスでは感覚系の活動に与える作用が異なることが示唆された.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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